ヨロイトカゲはトゲトゲしいウロコが特徴的でカッコイイトカゲの種類です。
ゴツゴツした見た目で、まるで恐竜のような姿をしているため『飼育をしてみたい!』という人も多いのではないでしょうか?
この記事では初心者向けにどんな種類がいるか?特徴や飼い方などをまとめてみました。
- ヨロイトカゲについて知りたい
- どんな種類がいるのか気になる
- 飼うために何が必要なのか調べている
ヨロイトカゲの特徴

学名 | Cordylidae |
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英名 | girdled lizards、 spinytail lizards、girdle-tail lizards |
種類の数 | 66種 |
繁殖形態 | 卵生・卵胎生 |
寿命 | 10年前後 |
全身がトゲで覆われている
ヨロイトカゲの一番の特徴はウロコの一部がトゲ状になっていることです。
特に後頭部や尻尾は鋭いトゲになっていることが多いです。
ヨロイトカゲが分布するアフリカの乾燥地帯では、天敵も多く襲われることがあるため、トゲによって身を守る役割をしているといわれています。
ペットとしてもこのトゲが特徴的なに見た目でカッコイイため人気になっています。
昼行性の変温動物
ヨロイトカゲは昼行性で、朝に岩の上などで日光浴をして体を暖めてから行動しています。
日光浴はヨロイトカゲが、体温調節ができない変温動物なためです。
このことは飼育下に置いても重要で、太陽の光を浴びることができる環境か擬似的に日光浴ができる環境を作ってあげることが必要になります。
ヨロイトカゲの分布
ヨロイトカゲの分布はアフリカの東部から南部にかけて広く分布し、多くの種類は乾燥地帯に生息しています。
日本の固有種ではないので、ペットとして飼う場合は基本的には輸入したものか、繁殖したものになります。
小型の動物ではありませんが、生息場所には他にも大きな動物や猛禽類などの空からの敵などもいるため、天敵も多いです。
そのため、見た目とは裏腹に意外と臆病な性格である事も多く、岩の間や穴を掘って身を隠して生活しています。
飼育家でも隠れられるシェルターを設置してあげると落ち着くと言われています。
ヨロイトカゲの繁殖形態
爬虫類としては繁殖形態が独特で、「卵生」と「卵胎生」の種類がいます。
日本に輸入されているヨロイトカゲのほとんどは「卵胎生」です。
「卵胎生」はお腹の中で卵を孵化させる繁殖形態で、多くの爬虫類は「卵生」なので珍しい繁殖形態です。
単純に卵を産むこととは違うため、1度に子供を産む数も少なく1〜2匹程度のものが多いです。
トカゲの繁殖は難しいとされることが多いのですが、卵胎生であることで、さらに繁殖させるのが難しいとされています。
ヨロイトカゲの種類
ヨロイトカゲの種類の総数は66種とされています。
分類については様々な説があり、時代と共に変わっています。
昔は種類の総数は少なかったのですが、現在は66種になっているようです。
大きく分けると10属となります。
- Ouroborus cataphractus
- Karusasaurus
- Namazonurus
- Smaug
- Ninurta coeruleopunctatus
- Hemicordylus
- ヒラタトカゲ属
- ヨロイトカゲ属
- カタヘビトカゲ属
- ニセヨロイトカゲ属
ただ、それだけの種類があっても日本に輸入される種類は限られています。実際に日本で飼われているのは数種類です。
日本でよく見かけるものをピックアップして見てみましょう。
ヒナタヨロイトカゲ
学名 | Cordylus tropidosternum |
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別名 | ネッタイヨロイトカゲ、トロピクスヨロイトカゲ |
分布 | ケニア南部、タンザニア、モザンビーク中部、ジンバブエ東部 |
全長 | 15cmほど |
寿命 | 約10年 |
日本で一番安価で手にも入れやすいと言われている種類のヨロイトカゲです。
ですが、乱獲によってワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の付随書Ⅱに掲載され、日本に入ってくるものはかなり減っています。
昔は数千円で購入することが可能でしたが、現在では数万円程度することが多くなってきているようです。
砂漠地帯に生息することの多いヨロイトカゲですが、この種類は乾燥した森の中でも生活していて、切り株や倒木の下などを住処にしていることがあります。
昆虫をメインに食べ中でもシロアリを好むことが多いんだとか。
飼育がしやすく小さめな体なため初心者でも飼いやすいとされています。
ただ、ヨロイトカゲの特徴であるトゲトゲしいウロコは若干控えめになっているため、ヨロイトカゲ特徴的な見た目が目当てで飼いたい場合は、向かないかもしれません。
また、体が小さいので、多頭飼いを検討してみても良いかもしれません。
ヒナタヨロイトカゲは別名があり、「ネッタイヨロイトカゲ」「トロピクスヨロイトカゲ」などでも呼ばれています。
店舗などで見つからない場合は他の別名の方で探す見つかるということもあるかもしれません。
オオヨロイトカゲ
学名 | Smaug giganteus |
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全長 | 最大40cm |
分布 | 南アフリカ(旧トランスバール州、フリーステイト州、クワズール・ナタール州) |
寿命 | 10年ほど、飼育下で20年生きることも |
ヨロイトカゲの中で一番有名なトカゲと言えるでしょう。
名前の通りヨロイトカゲとしては大きく、体長は生まれた時から10cmほどあり、最大で40cmほどになると言われています。
このオオヨロイトカゲは核DNAとミトコンドリアDNAの分子系統推定によって、1つの分類だったものがいくつかに別れるという経緯がありました。
前述したヨロイトカゲの種類が増えている理由はこうしたことも関係しています。
大きい部類とはいえ、他の動物に比べれば小さいので、臆病な性格なことが多いです。
面白い行動として、敵に見つかった際に死んだふりをしてやりごすということもあるようです。
こちらの種類もワシントン条約の付随書Ⅱに掲載され輸入されることが少なくなりました。
最近では特に値段が高騰しており、数十万から100万円近い値段で取引されることが多いです。入手することもかなり難しく、「飼育したい」と思っても簡単には手に入れられないのが現状です。
動物園などでも飼育されていることが多いので、まずはそちらを訪れてみるのもいいかもしれません。
アルマジロトカゲ
学名 | Ouroborus cataphractus |
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全長 | 最大21cm |
分布 | 南アフリカ共和国西部 |
寿命 | 15年前後 |
ヨロイトカゲという名前が入っていませんがこちらもヨロイトカゲの1種です。
ヨロイトカゲの中でもウロコのトゲトゲしさが激しいことが特徴です。
アルマジロトカゲの特徴として外的から身を守る際に尻尾をくわえて丸まってやり過ごすことがあります。
この動作がアルマジロに似ていることから「アルマジロトカゲ」というふうに呼ばれるようになりました。
8~10頭の群で生活する種類なので多頭飼いしてみるのもいいかもしれません。
こちらも日本にも輸入されていましたが、近年では、やはり乱獲が進みワシントン条約の付随書Ⅱに掲載され輸入されることが少なくなりました。
人気のある種類のため値段も数十万になり、入手するもの難しくなっています。
ヨロイトカゲの購入方法

爬虫類は飼育環境が整っていれば飼育難度そこまで高くないことが多いですが、輸入するのが難しくなっていて、値段が高騰してきています。
前述したように、ワシントン条約の付随書Ⅱに掲載されているため、ペットショップで見かけることが少ないです。
日本に密輸入されことも多いので、犯罪に巻き込まれないように、怪しい業者からは購入しないように注意しましょう。
爬虫類は対面販売が義務付けられている
爬虫類の販売には対面販売が義務付けられています。
そのためネットショップを通してのみで購入することは基本的にできません。
必ず直接、説明を受けましょう。
「WC」と「CB」の個体
購入を考えるとき、動物の名前の後にあるアルファベットで「WC」「CB」というものあることがあります。
どのように捕まえてきたか?というのを表しています。
- WC : 野生の個体を捕まえたもの
- CB : 飼育下で繁殖させたもの
「WC」は野生の個体を捕まえたものなので、警戒心が強く人や環境などに慣れるまで時間がかかる傾向にあります。
一方繁殖させた個体の「CB」は生まれた時から人と関わりがあるので、人に慣れやすい傾向にあると言われています。
初心者の場合はやはり「CB」の個体がおすすめになります。
何も表記されていない場合はどういう個体なのか、お店の人に聞いてみましょう。
ヨロイトカゲが購入できない場合
ヨロイトカゲは希少な種類が多いため、価格も高騰していることと共に購入できる機会もかなり限られています。
ペットショップのサイトを調べても、販売しているショップは少なく、売り切れになっているものがほとんどです。
購入できない場合は以下の用なことをしてみると良いかもしれません。
- ペットショップによく通う
- 爬虫類販売の即売会へ行ってみる
- 動物園で飼育されているもの見に行く
まずはペットショップに通って、入荷した際に連絡をもらえるようにしておくと売り切れる前に購入することが出来そうです。
その他には、爬虫類を扱った即売会なども全国各地で開かれているので、足を運んで見るものも手です。
どうしても購入先が見つからない場合は、動物園で飼育されているものを見て、ひとまずはガマン…ということにしましょう。
ヨロイトカゲの飼育設備
飼育ケージ
種類や個体よって必要な大きさは違いますが中型のものが多いので、ある程度の広さが必要になります。幅が60cmは欲しいところです。
大きい種類であれば、90cmのものを用意してあげましょう。
ケージが大きければ多頭飼いや、エリア分けて温度管理などもしやすくなります。
幅と奥行きは必要ですが、高さはあまり必要になることはありません。
爬虫類用ケージも販売されています。
大きさもちょうどよいものが多いので、そちらを選ぶといいかもしれません。
紫外線ライト・バスキングライト
擬似的に日光浴ができるように「バスキング」と「紫外線ライト」を設置します。
紫外線を浴びることで、カルシウムを摂取するのに必要な「ビタミンD」を生成します。
日光浴ができないと、カルシウムが足らず「クル病」になってしまいます。
飼育下では必ず紫外線ライトはつけてあげましょう。

2つの機能が1つになったライトも販売されていますので、そちらもおすすめになっています。
紫外線ライトには寿命があり、通常は半年ほどを目安にライトを交換します。
そのまま使い続けると効果がないライトを浴びせることになるので、注意しましょう。

床材
爬虫類用の床材はいろいろ選択肢があります。
- 砂漠砂
- ウッドチップ
- クッションマット …など
おすすめは「砂漠砂」です。基本的に乾燥地帯に生息しているので、あまり給水性のない床材が良いとされています。

水容器
食事から水分を補給することもしますが、水を飲んだり、水浴びをしたりすることがあるので、水容器を入れてあげましょう。
大きさは全身が浸かれるような大きさのものがいいです。
飲み水にもなるので最低でも2日に1回は水を入れ替えてあげるようにしてください。
シェルター
ヨロイトカゲは臆病な性格なことがあるので、シェルターを入れてあげましょう。
特にヨロイトカゲを飼い始めた時は慣れない環境でストレスを感じることが多いので、落ち着ける環境を作ってあげましょう。
ヨロイトカゲ中型とはいえ、少し大きめな種類も多いので爬虫類用のシェルターでは小さいことがあります。
その場合は専用のものではなくプランターなどに少し穴を開けて、代用するといいかもしれません。
ヨロイトカゲの飼育方法

エサ
ヨロイトカゲは肉食です。
野生の物は主に昆虫などの節足動物を多く食べて生活しています。
飼育下でも昆虫をメインに与えてあげましょう。
- デュピア
- コオロギ
- レッドローチ…など
好き嫌いをすることもあるので、いろいろなエサを与えてみましょう。
そのほかに栄養バランスを考えて、人工餌やサプリメントも与えてあげましょう。
サプリはいつものエサにまぶして使うことも出来ます。
幼体の場合は毎日エサを与えても問題ないことが多いですが、成体になったら1〜2日置きにエサを与えます。
室内で飼う場合は運動不足になり、肥満になることも多いので餌の与えすぎには注意が必要です。

温度

ヨロイトカゲはもともとアフリカの乾燥地帯に住んでいるため、日本の飼育下では温度を高く保ってあげましょう。
ライトやエアコンなどで温度を調節することが出来ますが、必要であればヒーターを入れてあげましょう。

また昼間と夜で温度変えるようにします。
バスキングスポットを35℃以上。
それ以外を25℃前後。
広いケージであれば、温度に勾配をつけられるようにします。20〜30℃ぐらいの変化があると良いかもしれません。
夜は温度を下げるようにして、20〜25℃前後までに落とすようにします。
20℃を切っても問題ないことですが、幼体の時は温度を下げすぎると死んでまうこともあるので、注意するようにしましょう。
ヨロイトカゲはハンドリングが可能
ヨロイトカゲはハンドリングすることが可能です。
ただし、見た目の通り、ヨロイトカゲはゴツゴツしているため、ハンドリングしてみると手が少し痛いかもしれません。
手袋をしてハンドリングするのもおすすめです。
ハンドリングはヨロイトカゲたちにとって基本的にはストレスでしかないため、以下のことに注意します。
- 長時間のハンドリングは避ける
- ハンドリングの回数をおさえる
- 上から持ち上げず、すくい上げるようにする

ハンドリング後は手を洗う

ハンドリング後には必ず手を洗いましょう。
爬虫類はサルモネラ菌を保菌しているため、目や口などに入ってしまうとサルモネラ症などになってしまいます。
- 発熱
- 腹痛
- 下痢
- 嘔吐
- 血便…など
高齢者や幼少児で感染してしまうと最悪の場合、命の危険があることもあるので、手を洗うことを忘れないようにしましょう。
まとめ
トゲトゲしい見た目は魅了的なヨロイトカゲ、初心者には環境を整えたり、温度調節が少々難しいかもしれません。
ただし、これは多くの爬虫類には必要なことなので、しっかり準備すれば爬虫類飼育の初心者でも飼うことは可能です。
爬虫類を飼ったことある人であれば、共通する部分が多いため2、3種類目に飼う爬虫類としてはおすすめかもしれません。
正直、一番のハードルは値段や購入先かもしれません。
現在、ヨロイトカゲはどの種類でも入手することが難しくなっています。
飼育を検討している場合はアンテナを張っておくといいかもしれません。