基礎知識

初心者でもわかる!爬虫類用ヒーターの種類と特徴 適切な器具の選び方

ヒーターとしての爬虫類を健康に飼育する上で、温度管理は必ず必要になります。適切な保温で野生下の環境を再現することで、爬虫類達の健康を維持するためです。

保温を適切に行うためには、保温器具選びはとても大切です。しかし、爬虫類用のヒーターや保温器具は非常に種類が多いです。

どの商品を選べばいいのか分からない・・・

という方も多いのではないでしょうか。

今回は爬虫類飼育の基礎知識、ヒーターについての情報をまとめました。

  • 数が多くて何がなんだか分からない
  • ヒーターはどのくらい種類があるの?
  • それぞれの商品の特徴を知りたい

こんな疑問を持っている方はチェックしてみてください!

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爬虫類用ヒーターの種類①保温球

保温球は、赤外線を照射して空間を温める保温器具です。

見た目はガラス電球ですが、一般的に使用されるの照明とは違い、爬虫類飼育用のソケットに差し込んで使用します。

フトアゴヒゲトカゲやカメレオン、ヒルヤモリなど昼行性爬虫類の保温に使用されることが多いです。

ヒーターとしての特徴・種類

保温球は

  • 昼用
  • 夜用
  • 昼夜兼用

の種類があり、さらに

  • ケージの一部を集中的に温める「集光型」
  • 広範囲を保温できる「散光型」

の二つタイプが存在します。

例えば、フトアゴヒゲトカゲの飼育環境では

ケージ内の温度を24時間キープするために昼夜兼用の散光型ランプを使い、
日中はバスキングスポット(40℃〜42℃の高温スポット)を作成するために昼用の集光型ランプを使う

というような選び方をします。

異なる種類の保温球や他の保温器具との組み合わせることで、生息地域に近い環境を再現します

保温球のW数目安

保温球には、必ずパッケージにW数の記載があります。W数は消費電力、すなわち熱・明るさの強さと比例していると考えてください。W数が高いものはより強い熱を、W数が低いものは弱めの熱を発します。

以下の表は、ケージのサイズと、それに対応した必要ワット数の一覧です。

ケージのサイズ必要なW数の目安
45cm30W〜50W
60cm50W〜75W
90cm以上100W
お住いの地域や、ケージ内のレイアウトにより保温に必要なW数は異なります。この表はあくまでも参考に、温度計やサーモスタットを利用して温度を調節してください。
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種類別の商品紹介

ここでは上記で紹介した保温球の種類別に、参考となる商品を紹介します。

昼用の集光型

夜用の散光型

ジェックス エキゾテラ ナイトグロー ムーンライトランプ 75W 夜行性爬虫類用
ジェックス

夜用の集光型

昼夜兼用の散光型

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昼夜兼用の集光型

保温球・紫外線ライト・バスキングライトの違い

爬虫類用のライトと聞くと、紫外線ライトやバスキングライトを思い浮かべるかもしれません。これらのライトと保温球はどう違うのでしょうか。

紫外線ライトは、太陽光から出ている紫外線を擬似的に再現する目的で使用します。

一方バスキングライトの使用目的は、太陽光の暖かさを再現することです。一般に「バスキングライト」という言葉は集光型の保温球を指します

バスキングライトは、ケージ全体の保温を目的とした散光型保温球とは使用目的が異なります。爬虫類が日光浴をするためのホットスポットとしてケージの端に照射します。

紫外線ライト・バスキングライトは、二つセットで太陽光を擬似的に再現するものです。紫外線と赤外線熱が一緒に放射される商品もあります。

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バスキングライトも保温球の一種ですが、日光浴のために使うもの、と覚えておいてください。 (参考 charm カメ・爬虫類の保温球・UV球 特集 )

使用上の注意点

消耗品のため定期的に交換が必要

保温球は消耗品であるため、4ヶ月〜6ヶ月を目安に交換します。

所定の期間以上使用を続けると、

  • 温度が上がらなくなる
  • 球ぎれを起こす

という不具合が発生する可能性があるため、定期的に交換しましょう。

水滴に注意

保温球やバスキングライトは、使用中に水滴が付着すると破損することがあります。

ガラスが割れたり、場合によっては破裂して火が付くこともありますので、取り扱いには細心の注意を払ってください。

霧吹きの際水滴が当たらない位置に設置する、水を飛ばす生体には別の保温器具を選ぶなど、使用には工夫が必要です。

https://www.youtube.com/watch?v=3wbLv2cnu7o

 

爬虫類用ヒーターの種類②セラミックヒーター

セラミックヒーターも、赤外線を照射するタイプの保温器具です。保温球のように専用のソケットに差し込んで使用します。

ヒーターとしての特徴

保温球とは違い電球ではないので、使用中に光が出ないのが特徴です。警戒心の強い個体や、目が悪く神経質な生体にも安心して使用できます。

使用上の注意点

温まりづらい

セラミックヒーターは、保温球と比較すると温まりづらく冷めにくい性質を持っています。ONとOFFを繰り返して温度を調整するサーモスタットとは相性の悪い商品です。

そのため基本的には付けっ放しで使用することが前提となります。狭いケージや夏場の使用には注意が必要です。

 

爬虫類用ヒーターの種類③パネルヒーター

パネルヒーターは、ケージの側面や底面に貼り付けて使用する保温器具です。
底面に使用する場合はケージの三分の一〜半分程度に敷くようにします。

ヒーターとしての特徴

パネルヒーターは、人間でいうところの床暖房のような働きをする保温器具です。

床からお腹を温めてくれるため、体温を上げ食後の消化を助けます。

使用上の注意点

パネルヒーターの上にウェットシェルターを置かない

パネルヒーターの上にウェットシェルターを置かないように注意してください。

パネルヒーターの熱でウェットシェルターが温まり、蒸し風呂のような状態になってしまう可能性があります。ウェットシェルターはパネルヒーターの反対側に置くと安心です。

空間保温には向かない

便利なパネルヒーターですが、基本的に晩秋〜春先までの単独保温には力不足です。
パネルヒーターの役目はあくまで底面の保温であり、空間保温はできません。

気温の低い部屋でパネルヒーターのみの保温を行った場合、低温やけどを引き起こすケースもあります。
冷え切った空気の中で床だけが暖かいと、体温を上げるためパネルヒーターの上から動かなくなってしまうのです。 (参考:ヘビ(ブラッドパイソン)の低温やけど(お腹がただれている)|キキ動物病院)

寒い季節は保温球や暖突だんとつ暖突だんとつなど、他の保温器具と併用すると怪我や病気が防げます。
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爬虫類用ヒーターの種類④暖突

暖突だんとつとは赤外線を照射しケージ全体を温めるための保温器具です。

分厚いパネル状の器具で、主にケージの天井に固定して使用します。

ヒーターとしての特徴

導入費用はSサイズで4000円〜とやや高額ですが、消費電力が少ないというメリットがあります。

暖突だんとつSサイズの場合、40Wの保温球と同程度の保温に必要な消費電力は13Wで、保温球の1/3程度の消費電力です。ブレーカー落ちの対策になるほか、電気代の節約も期待できます。

保温球と違い定期的な交換も不要なので、長いスパンで見るとより経済的と言えるでしょう。

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使用上の注意点

サーモスタットの使用が必須

暖突だんとつはケージ全体を温める保温器具です。温度が上がりすぎると生体は逃げ場がなくなってしまいますので、小さめのケージや高さの低いケージに使用する際はサーモスタットの使用が必須となります。

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高さのあるケージとは相性が悪い場合がある

比較的高さのあるケージで地表性の種を飼育している場合は注意が必要です。暖突の保温能力は暖突からの距離に依存するため、離れすぎていると十分にケージを温められないことがあります。

詳細は以下の記事で紹介しています。参考にしてください。

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まとめ

以上、爬虫類に使用できる保温器具の特徴をご紹介しました。

保温器具にはそれぞれ特徴と適した使用法があります。理解して使うことにより、生体の健康管理を適切に行うことが可能です。

保温器具は、いずれも熱を発する製品です。使用方法を間違うと発火する場合もありますので、使用前に取扱説明書を読み、誤った使用をしないよう注意してください。

ライター:いちはら まきを
Twitter:@IchiharaMakiwo