飼育・生体

【爬虫類の脱皮】脱皮不全の原因と防止策

爬虫類は、昆虫と同じように脱皮をします。爬虫類の脱皮は健康の指標の一つであり、それは人に飼育されているペットでも同じです。

定期的に行われる脱皮は、爬虫類にとっては日常生活の一部です。しかし、脱皮に失敗すると怪我をしたり、健康を害することもあります。

今回の記事は、爬虫類が定期的に行う脱皮について、基礎知識を紹介します。

  • そもそも脱皮って何?
  • どのくらいの頻度が普通なの?
  • 失敗するとどうなるの?

こんな疑問にお答えしていきます。

【爬虫類の脱皮】脱皮不全の原因と防止策 - 【爬虫類の脱皮】脱皮不全の原因と防止策

爬虫類の脱皮は新陳代謝の一種

動物の組織は日々生まれ変わっており、それは皮膚も例外ではありません。爬虫類の脱皮は、古くなった表皮の組織が分離するために起こる現象です。

人間の場合、役目を終えた古い組織はあかになって剥がれ落ちます。日々お風呂に入っているので意識しないとあまり気付くことはないかもしれません。

爬虫類や両生類は、この古い組織はある程度まとまって剥がれます。ヤモリやヘビのように全身が一気に剥けることもあれば、体の一部のみの脱皮が断続的に続くこともあります。

多くの場合、新陳代謝の激しい幼体の間は脱皮の頻度が高く、成熟してくると少しずつ間隔が空くようになります。

脱皮の頻度はどの程度が一般的か

爬虫類の脱皮は成長度合いや種によって頻度が異なるため、一概に「爬虫類の脱皮頻度はこのくらいが普通!」とは言えません。

個体差もあるため、何日に一度脱皮していれば正常とは言えないのが難しいところです。

脱皮頻度は種によって異なる

爬虫類の種類は多く、脱皮頻度もまちまちです。一例ですが、ペット爬虫類としてメジャーな三種の脱皮頻度はおおむね以下の通りです。

  • フトアゴヒゲトカゲ 2~3週間に一度
  • レオパードゲッコー 2〜3週間に一度
  • コーンスネーク 2〜3ヶ月に一度

アダルト個体だとこのくらいの頻度になることが多いです。とはいえ、あくまで傾向ですので、これより多いから・少ないからといって病気にかかっているとは限りません。ご注意ください。

脱皮頻度は成長によっても変化する

幼体の頃は、大人になるために少しずつ体が成長する時期です。脱皮もアダルト個体と比べると回数が多くなります。体が大きくなって大人に近くにつれ、脱皮の頻度は少しずつ低下して行きます。

脱皮の頻度は、種類・成長によって異なる

 

脱皮が失敗する?爬虫類の脱皮不全とは

脱皮は、個体の健康状態や飼育環境によっては上手くいかないこともあります。脱皮殻だっぴがらが体の一部に残った状態は脱皮不全と呼ばれています。

尻尾の先や指先などにいつまでも細かい脱皮殻だっぴがらが付着していると、その部分が壊死して欠損しまうことも。一般的に爪飛び・指飛びなどと呼ばれる現象で、生体に深刻なダメージとなります。

こういった場合は、時には人間が手を貸して脱皮を補助することも必要になります。

空気が過度に乾燥すると脱皮不全を起こす場合がある

脱皮不全の原因として多いのが、飼育環境が乾燥していることです。この場合脱皮殻だっぴがらがうまく剥けず、乾いた皮膚が小さくぼろぼろと剥がれることが多いです。

乾燥による脱皮不全は、湿度管理をきちんと行うことで回避できます。

脱皮不全は病気の兆候の場合がある

飼育環境自体に問題がない場合でも、生体が体調を崩した結果、脱皮不全に陥る場合があります。

脱皮不全は、低温症や紫外線の不足・くる病といった病気の症状の一つであることも多いです。

飼育環境を見直しても、変わらず脱皮に失敗するようであれば獣医師の診察を受けましょう。(参考1:公益財団法人 動物臨床医学研究所|動物臨床医学2015年 どう診るこんな動物 カメの臨床 ) (参考2:農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所|環境要因で発生する爬虫類の疾病 )

爬虫類の脱皮の際に注意すべきこと

多くの爬虫類は、脱皮前になると体の色がくすんだり、目が白く濁ったりと外見に変化が現れます。

脱皮の兆候が現れた場合、飼育者は以下の三つのことを確認しましょう。

  • 湿度は適正か
  • 脱皮しやすい環境かどうか
  • 脱いだ皮膚が残っていないか

それぞれ詳しく解説します。

湿度は適正か

脱皮の際、湿度は60%から70%ほどに保湿しておく必要があります。具体的には、

  • いつもより霧吹きの回数を増やす
  • 保湿性のある床材を使用する

ことで対策が可能です。

保湿性の高い床材は、ヤシガラや赤玉土、バークチップなどが利用できます。生体に合わせたものを選んで利用してください。

また、タッパーに湿らせたミズゴケを入れて設置しておくと、湿度が上がりやすくなるたおすすめです。

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脱皮のとっかかりになるものがあるか

脱皮の際、爬虫類は体をこすりつけて少しずつ皮膚を脱いでいきます。ケージの中に岩やレンガ・流木などを設置していると脱皮殻だっぴがらが引っかかって剥けやすくなります。

素焼きのモイストロックやウェットシェルターは、体を擦り付けるのにも利用でき、保湿も同時にできるのでおすすめです。

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脱いだ皮膚が残っていないか

脱皮が終わった後は、小さい脱皮殻だっぴがらが残っていないか体をチェックします。

特に以下の場所は注意して確認します。

  • 尻尾の先
  • 指先
  • 目の周り

ヘビやヤモリなど瞼のない種類は、汚れや乾燥から守るため瞳の表面に薄い皮膚があります。もし、この部分の脱皮に失敗している場合、素人が無理に除去しようとすると最悪の場合失明の可能性があります。その場合は自力でなんとかしようとせず、動物病院で診察を受けるようにしましょう。

脱皮不全にさせないように、飼育環境を確認しましょう!
  • 湿度を上げる
  • 脱皮を助ける飼育用品を設置する
  • 生体に異常がないかチェックする

まとめ

以上、爬虫類の脱皮と脱皮不全の対策をご紹介しました。

爬虫類を飼育していると定期イベントのようにやってくる脱皮ですが、失敗するとケガの元にもなるので注意が必要です。

健康な個体の脱皮不全は環境が原因のケースが多いですが、改善後も繰り返すようであれば、何かしら疾患を抱えていることもあります。その場合は早めに獣医さんを頼るようにしましょう。