爬虫類はペットとしては特徴的な見た目で抵抗を感じる人も多いかもしれません。
ですが、カメだけは小学校などでも飼っていたこともあり、親しみがあると感じる人も多いですよね。甲羅の中に隠れたり、のそのそ動くのも特徴的です。
中でも人に慣れやすいと言われペットとしても人気が高い「クサガメ」。
この記事で紹介するのは、初めて飼う人向けに特徴や飼育方法と気をつけるポイントなどをまとめてあります。
- クサガメがどんなペットか気になる
- クサガメこれから飼いたいと思っている
- 何を準備したらいいのかわからない
クサガメの特徴

クサガメは水棲のカメで、主に流れが速くない川辺や湖沼などに生息しています。
変温動物で昼は日光浴をして、体を温めて餌などをさがしています。
日本の在来種と考えられていましたが、江戸時代に中国や朝鮮などから入ってきた外来種の可能性も言われてようになりました。
クサガメは臭い?臭くない?
クサガメの大きな特徴として「におい」が挙げられます。
クサガメは漢字で「草亀」とも書きますが、「臭亀」とも書き、語源になっているのは「臭亀」の方です。
名前の通り、身の危険を感じて威嚇をする時に生ゴミのような独特な臭いを足の根元のとても小さな穴から出します。
ですが、飼育下においてはいつも臭いというわけではありません。
飼育下でカメが、臭い理由としては、水などをこまめに変えていないことが原因の場合が多いです。
食べのこしや、フンなどをよく掃除してあげれば、それほど臭うこともありません。
クサガメは「ゼニガメ」とも呼ぶ
クサガメは大きくなるにつれ名前が変わります。
- 小さい頃は「ゼニガメ」
- 大きくなってくると「キンセンガメ」
- 最後に「クサガメ」に成長
…と言うように大きさで呼び名が変わります。
クサガメは「ゼニガメ」として3~4cmの小さい亀として販売されていることが多いです。
ゼニガメはクサガメではなかった
「ゼニガメ」という呼び方は、元々は日本の在来種である「ニホンイシガメ」に使われていましたが、現在はクサガメも「ゼニガメ」として販売されることが多くなっています。
なので、ゼニガメを購入するときは「クサガメ」か「ニホンイシガメ」なのか、確認した方が良いかもしれません。
ゼニガメの語源
ゼニガメの語源については、江戸時代にカメが当時の硬貨に似ていたため、小さい亀を「硬貨=銭」として「ゼニガメ」と呼ぶようになりました。
当時の硬貨の天保通寳(てんぽうつうほう)などを調べてみると縦長な硬貨の形がまさにカメのようです。
クサガメは20cm以上の大きさになる
購入時は3cmほどで、かなり小さくかわいいのですが、成体になると20cmほどまでの大きさなり、最大で30cmまで大きくなります。成長は餌の食べ具合などで、個体ごとにまちまちです。
成体の大きさをイメージするなら紙のサイズを参考にするといいかもしれません。
- B5 182mm×257mm
- A4 210mm×297mm
購入するときは、B5サイズぐらい大きくなることは意識してみてもいいかもしれません。
オスとメスの違い
オスとメスでも大きさの違いがあり、オスよりメスの方が大きくなります。
オスの方が尻尾は太く長いのが特徴です。さらに尻尾には総排泄孔があるのですが、これが甲羅の外側にあればオスです。甲羅の中側にあるのがメスです。
また、オスは大きくなるにつれ、斑紋がなくなり、全身が黒くなってきます。
そのため、小さいうちは判別が難しいですが、大きくなってくるとオスとメスの見分けがしやすくなります。
クサガメの寿命
寿命は20~30年ほどと、ペットとしてはかなり長く生きます。
クサガメの特徴まとめ
体長 | 15〜30cm |
---|---|
体重 | およそ1kg |
寿命 | 20〜30年 |
価格 | 数千円ほど |
その他の特徴 |
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クサガメの購入方法
なお、クサガメはネットで購入することはできません。
対面での販売が義務付けられています。
ペットショップやホームセンターなどでも販売されていたりします。
購入価格は数千円ほどなので、爬虫類などの飼育初心者でも購入しやすいペットと言えます。
屋外飼いも屋内飼いもできる
通常は屋内で飼育する場合が多いと思いますが、ベランダや庭などの外で飼うこともできます。庭に池があるような人はそこで飼育するということも可能です。
その場合は必ず日陰になる部分を作ってあげることがポイントです。
また、カラスや猫などの外的もいるため、ネットや囲いなどでガードしてあげましょう。
クサガメを育てるのに必要な道具

水槽・ゲージ
屋内やベランダで飼う場合にはクサガメを水槽で飼うことが多いです。
水槽の大きさは甲羅の長さの3倍がベストとされています。
20cmぐらいになることを考えると、60cmあれば理想的です。
水槽以外にも「衣装ケース」や、「トロ舟」など飼うこともできます。
水を入れるため大変重くなります。選ぶ際は作りのしっかりしたものを選びましょう。
カルキ抜き
水槽に入れる水はそのままの水道水を入れてしまっても問題ないことが多いですが、念のためカルキ抜きはした方が良いでしょう。
陸地
クサガメは水棲のカメですが、陸場も用意することが必要です。
陸地はレンガや石などを使ったり、ツッパリ棒とネットを使って作る方法、市販の浮島など様々な選択肢があります。
またカメが陸地に上がりにくい場合はスロープを作って登り降りしやすいように、してあげるといいでしょう。
水に潜る際に勢いよく飛び込んで、水槽に体をぶつけてしまうということも無くなります。
バスキングライトと紫外線ライト
カメを屋内で飼育する場合はバスキングライトと紫外線ライトが必要になります。
一日中、屋内にいると日光浴ができないため、その代わりをライトで補います。
バスキングライト
爬虫類は変温動物で、自ら体温を調節することができません。
そのため、日光浴を利用して体を温めています。特にクサガメは日光浴をすることが多いです。
バスキングライトで照らす場所は陸地にして、温度は30〜35度ぐらいを保つようにしましょう。
紫外線ライト
その他に紫外線ライトも必要です。
紫外線は「脱皮の促進」や、カルシウムを体に取り入れるために必要なビタミンDを作るために必要になります。
紫外線が足りずカルシウムが不足してしまうと甲羅が異常な形になったりしてしまいます。
また、紫外線ライトには寿命があるので、消耗品として何度も買わなければなりません。
半年から1年ほどを目安に交換するようにしましょう。
バスキングライトと紫外線ライトは別々に設置することもできますが、オススメは2つが一体化しているものです。
ライトスタンドなどが必要な場合があります。


シェルター
屋外で飼う場合はシェルターなど、日陰になる部分が必要です。
たえず日光浴をさせるわけにはいかないので、日陰になる部分を用意してあげるようにしましょう。
浮島とシェルターで2役こなしてくれるものもあります。
ヒーター
水温は25〜30度の間ぐらいに保つことが必要です。
温度が一定のカメ専用のヒーターも販売されています。
ヒーターに触れるとやけどをしてしまうことがあるので、やけど防止カバーが付いているものがおすすめです。
ろ過装置(フィルター)
こちらは必須ではありませんが、なるべく入れた方がいいです。
こまめに水を交換できれば問題はないのですが、水はすぐに汚くなってしまうために手間も考えて入れることをお勧めします。
カメの飼育の場合は水深が浅い場合が多いので縦型よりなるべく横に置けるものを選択しましょう。

クサガメの餌
クサガメは雑食で比較的なんでも食べてくれます。
- 水草
- 甲殻類
- 昆虫
- 魚
…など
何を与えても良いのですが、栄養バランスが整っている人工餌をあたることがおすすめです。
ただし、この人工餌を嫌がる個体もいます。その場合は昆虫、肉、野菜などをバランスを考えて餌を与えることが必要です。
特に甲羅を作る上でもカルシウムは欠かせないので、乾燥エビなどは与えてあげましょう。
餌の頻度は成長時は毎日与えて問題ありませんが、成体になったら2日に1回ほどで十分です。
クサガメを育てる時の注意点

脱走に注意する
クサガメは頻繁に脱出を試みようとします。水かさが高すぎたり、水槽の高さが低いと外に出ようとしてしまいます。高さの低い「トロ舟」や「衣装ケース」などで飼う場合は注意が必要です。
特にベランダなどの外で飼う場合は、そのまま外へ逃げて発見できなくなったり、落ちて死んでしまうこともあります。気をつけましょう。

ハンドリングのしすぎには注意
クサガメはハンドリングがしやすいため、ついつい構ってしまいがちですが、過度にしすぎるのは注意が必要です。
長時間のハンドリングはストレスになりますし、触り方によっては恐怖を感じてトラウマになってしまいます。
また、カメを落として怪我につながることもあるので、ハンドリングは気をつけて行いましょう。

爪が伸びすぎたら小石や砂利を入れる
野生のクサガメであれば外での生活で、自然と爪が削れて伸びすぎることはあまりありませんが、飼育下でのクサガメは爪は削れることがなく意外に長くなってしまいます。
ですが、無理に爪切りをすればカメの怪我にも繋がるのであまりオススメできません。
カメ自体には爪が必要なため基本的には爪切りが必要ありません。
ただ、飼育時に引っ掻かれたり、多頭飼いをしている場合は他のカメを傷つけることがあるので爪を少し切りたくなります。
その場合は、飼育スペースに砂利や小石をいれてあげて、自然に爪が削れるようにしてあげましょう。
飼育・ハンドリング後は必ず手を洗う
どの爬虫類にも言えることですが、爬虫類は基本的にサルモネラ菌を保菌しています。
ハンドリングや水の入れ替えなど、カメを触ったあとは必ず石鹸で手を洗いましょう。
また、水槽の水を台所の流しで流すのも危険です。
サルモネラ症になると、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などになってしまい、治るまでに2〜7日ほどかかります。
冬眠は必須ではない
クサガメは変温動物なため、冬を越すために冬眠することができます。
主に肺呼吸ですが、水の中でも土の中でも冬眠することができます。
ですが、飼育下においては冬眠はさせなくても問題ありません。特に体力が少ない、まだ小さいカメの場合は冬眠させるべきではありません。
冬眠させる場合は環境をしっかり作らないと、冬眠したまま死んでしまうこともあります。
いずれにしろ、冬眠させるのはあまりオススメできません。
もし、冬眠させる場合はなるべく、飼育スペースを気温の変化の少ない暗所に移します。
そこに、布団や発砲スチロールなどを被せて二重にしてさらに暗く気温を保つようにします。(穴を掘って、飼育スペースをそこに埋めるという人もいます。)
水の中で冬眠させる場合は、水が凍ってしまうことがあるので、水温を5度前後に保つように管理してます。また冬眠中も水が蒸発して少なくなることがあるので、少なくなれば水量を少し足すことが必要です。
まとめ
いかがでしたか?クサガメの特徴から、飼育方法、気をつけるポイントなどをみてみました。
値段も安く、人にも慣れやすいため、クサガメは飼っていてとても楽しいペットです。
世話自体も環境を整えれば難しいことがないので、初心者にも飼いやすいペットだと思います。
ただし、意外と大きくなるので、『大きくなって飼えない!』ということがないように注意しましょう。
