爬虫類や両生類の中でとても小さくてかわいい「アカハライモリ」。
別名では「日本井守」というふうに呼ぶほどで、とても広く分布していて、日本のイモリと言えばこの「アカハライモリ」の事を呼びます。
飼育環境などを作るのもそれほど手間がかからないので、初心者向きのペットと言えます。
“これから飼ってみたい!”という人はぜひ参考にしてみてください!
- アカハライモリを飼ってみたい
- アカハライモリに興味がある
- アカハライモリを育てるのにどんな準備が必要かわからない
目次
アカハライモリの特徴
まずは、アカハライモリがどんな生物なのか?をみていきましょう。
分類 | 有尾目 イモリ科 イモリ属 両生類 |
---|---|
体長 | 8〜14cm |
寿命 | 15〜20年 |
価格 | 200円〜500円 |
アカハライモリは両生類
アカハライモリは尻尾があり、よく爬虫類に勘違いされますが、カエルやサンショウウオなどの仲間の両生類です。
特に「イモリ」と「ヤモリ」はとても似ていて、”これってイモリ?ヤモリ?”という事はよくあるのではないでしょうか?
ですが、それぞれは違う性質の生物です。
両生類 : イモリ
爬虫類 : ヤモリ
両生類は主に水の中で生活するのに対して、爬虫類は陸上で生活します。
その他に両生類は幼年の頃はカエルのようなオタマジャクシの状態で「エラ呼吸」をします。
成体になると「肺呼吸」と「皮膚呼吸」に切り替わる変態動物です。
驚異的な再生の能力
トカゲの尻尾のように切れたものが再生する生物は他にもいますが、イモリはその中でも群を抜いて再生力が高いです。
尻尾だけでなく、腕や足が切りはなされても再生することが可能です。骨なども再生します。
さらにはアゴや目のレンズ、脳が一部なくなっても再生させることができます。
しかし、これらはあまり役立つことはないそうで再生には、ある程度の時間がかかってしまい、多くの場合は再生する前に他の生物食べられてしまうことが多いそうです。
赤いお腹
1番の特徴はアカハライモリの名前にもなっている赤いお腹です。
英語でも「Japanese fire belly newt」という呼ぼれていて、その特徴が名前に挙げられていますね。
- Japanese : 日本
- fire : 火
- belly : お腹
- newt : イモリ
体の全体は黒っぽいのですが、お腹の部分は赤というよりオレンジ色で、そこに黒く斑点のような模様があります。
模様は個体によって様々で、生息している場所によっても特徴が出ます。
赤いお腹は毒(テトロドトキシン)を持っているため
特徴的な赤いお腹は警戒色と言われていています。
アカハライモリはフグと同じ猛毒の「テトロドトキシン」を皮膚から出します。
この毒を持っている事を他の生き物にアピールして食べられる事を避けているんですね。
人間に対してはかなり微量なので、触ったりしてもそれほど問題ありません。
ですが、目をこすったり、口に入るとよくないので、直接触れた後は必ず手を洗うようにしましょう。
珍しい色の個体
珍しい個体としてお腹だけでなく、全身が赤くなっているものや、メラニンに関する遺伝情報が欠損してしまい、全身が白くなるアルビノなどもいます。
これの個体はとても珍しい、野生で見つけるのは難しいでしょう。
ペットショップや、オークションなどで出されていることがあるので、興味があれば調べてみましょう。
オスとメスの見分け方
オスとメスで大きさが違いメスの方が若干大きいです。
オス : 8〜10cm
メス : 10〜14cm
それ以外に排泄口と尻尾が見た目に違います。
オス : 尻尾が大きく幅も広く太い、先は尖っている。
メス : 剣のように細長い
排泄口は小さいためわかりにくいので、尻尾の大きさで見分けるのがわかりやすいでしょう。
日本各地の水辺に分布
日本の本州、四国、九州、そのほか離島などにも分布しています。
生息地は水のあるところで、小川、池、沼、など淡水で水の流れが速くない場所にいます。
基本的には水の中で生活していますが、水場の近くの林の茂みなど、湿っているところにいることも多く、雨の時は水から上がって移動することもあります。
意外とどこにでもいるようで、水田周りや、その集水ますなどを調べると発見することができます。
購入方法
アカハライモリはペットショップや、ホームセンターで購入することが可能です。
価格もかなり安く、200円ぐらいから買うことができます。
めずらしい色の個体は高い価格で取引されることが多く、数万円から十万円を超えることあります。
ペットショップ以外にオークションサイトにも出されていることがあるので、興味がある方は調べてみましょう。
その他に購入せずに、自然の中にいるイモリを自分で捕まえることも可能です。
水田などの湿地が近くにあれば見つけることができるかもしれません。自分で捕まえたものを育てるのも愛着がわきそうです。
アカハライモリの飼育設備
- 水槽、ガラスケース、プラスティックケース
- ろ過装置
- 水温計
- ヒーター
- 冷却ファン
- エアーポンプ
- 床材
- 水草
- 流木や浮島
- カルキ抜き…など
これだけ見ると意外と多いのですが、実はイモリを買うのにどれも必須という訳ではありません。
ただ、イモリテラリウム、通称イモリウムとして凝ったレイアウトの水槽を作っている方もたくさんいます。
イモリウムもアカハライモリを育てる醍醐味となっているためです。余裕があれば挑戦してみましょう。
水槽・ガラスケース・プラスティックケース
まず飼育する場所として必要なゲージ類です。
アカハライモリは両生類で水を入れなければいけないので、水槽などを用意しましょう。
大きいは1匹飼うだけであれば30cmほどの大きさでも問題ないのですが、3、4匹など複数飼う場合は60cmは欲しいです。
水の入れ替えをしなくてはいけないため、プラスティックケースだと本体が軽く楽ではあります。
ただし、水槽にしろプラスティックケースにしろ、脱走をすることがあるのであらかじめ対策をしておくことも必要です。
蓋をする場合は完全に密閉しないように穴を開けたり、もしくはワイヤーやネットなどで逃げ出せないようにしておきましょう。
ろ過装置(フィルター)
水を清潔にたもつためのフィルターです。水槽の水はイモリ自体が水分補給で体に取り入れる、綺麗に保っておきたいです。
水質が悪く病気になることもあります。
水換えを頻繁にするため、入れないということもあるようですが、可能な限り入れてあげましょう。
アカハライモリの飼育環境は水位が低くなるので、投げ込み式やコーナーフィルターがオススメです。
水温計
アカハライモリは体温を変化させられない変温動物です。
そのため、水温を適切に管理してあげることが必要になります。
ヒーター
前述した通り、アカハライモリは変温動物なため、体温調節ができません。
特に冬に冬眠をさせない場合は水温を保つために必要になりますが、部屋の室温が高い場合は使わなくても問題ないです。
サーモスタットを使って一定に保ったり、初めから一定に温度保てるものを入れておきましょう。
熱帯魚用などのものでヒーターは様々なものが出ています。
冷却ファン
夏場は逆に水温が高くなりすぎてしまうことがあるので、冷却ファンを用意してあげましょう。
こちらも温度を一定に調節してくれるものがオススメになります。
部屋のエアコンで、室温ごと下げて水温を調節するということ可能です。
エアーポンプ
アカハライモリは肺呼吸をするので必須ではありません。
しかし、水草などの植物を入れると必要になってきますし、空気を入れることで水自体を腐らせにくくなります。また、水温を安定させる効果もあります。
可能であれば入れてあげてましょう。
アカハライモリはあまり泳ぎが得意ではないため、水流の強くないものを選択しましょう。
床材
床材も必須ではなく、特に入れななくても問題はありません。
消臭効果のあったり、水質を安定させる効果のあるものもあります。また、床材があれば水草を植えることもできるようになります。
綺麗なイモリウムにしたい場合はぜひ入れておきたいですね。
ただ、掃除も大変になるため入れない方が楽に感じることもあります。
あまり小さい砂利などを敷き詰めてしまうと間違って、飲み込んでしまうことがあるため、ある程度大きいものを選択しましょう。
水草
こちらも必須ではありません。綺麗なイモリウムを作る場合はぜひ入れておきたいですね。
その他にアカハライモリが水草に捕まって、休むことも多いです。
浮島・流木
両生類のアカハライモリには、それほど陸地にいることはありませんが休んで呼吸することもあるので、陸地として浮島や流木などを入れてあげましょう。
カルキ抜き
水槽に入れる水は、水道水を使うことになります。
水道水には塩素など、アカハライモリにはよくものも含まれているので、水を張ったら最初にカルキ抜きをしてあげます。
飼育方法
水位は低めにする
通常、水の中で生活するアカハライモリですが、泳ぎがあまり得意ではありません。
それに加えて、アカハライモリは肺呼吸なため、水面まで上がってきて呼吸をしなければなりません。
なので、水位があまり高いと呼吸するのが大変になってしまいます。
水位は15〜20cmほどを目安にして調整していきましょう。
水換のタイミング
水換えのタイミングは週に2回ほどしてあげましょう。
普段から餌の食べ残しやフンなどをピンセットで取り除いたり、フィルター、エアーポンプ、水草、床材などなど…水質を保つものが入っていれば、もう少し水換えのタイミングを伸ばしてもいいかもしれません。
水温
水温は20〜25℃ぐらいに保ちます。
29℃あたりになると熱くアカハライモリには危険なので、冷却ファンを使って水温を下げてあげましょう。
また、水温が低すぎる場合はヒーターを使って温めてあげましょう。
どちらも自動で温度調節してくれるものがオススメです。
餌の与え方
餌は水に浮かせて自然に食いつくまで待つか、陸地にいるときにピンセットで顔の近くまで持っていくと食いついてくれます。
野生ではミミズやクモなどの節足動物、小さな魚なども食べて生活していますが、飼育下ではバランスの良い人工餌をメインにして昆虫やメダカ、小型のエビなどを与えてあげましょう。
人工餌はウーパールーパーや金魚やメダカのものでも構いません。
幼年の頃は1日1回は餌を与えますが、成体の場合は1日おきぐらいで問題ありません。
2口ぐらいで食べきれる量を与えてあげてください。
アカハライモリは餌をあげれば、あるだけ食べてしまい消化不良などを起こしてしまったり、肥満や病気になってしまいます。餌やりの量は気をつけてあげましょう。
飼育下では冬眠させない
アカハライモリは変温動物で寒さに弱いため、野生のものは土の中で冬眠して冬を越します。
水温が10℃以下になると冬眠を始めます。時期としては11月から3月頃までです。
ですが、飼育下では冬眠をオススメしません。
うまくいかない場合は死んでしまうこともあり、リスクを伴います。
室内で飼っていれば水温もそれほど下がらないので冬眠は必要ありません。
水温が低い場合はヒーターなどを入れて水温を高く管理しておげましょう。
ただし、冬眠をさせることで繁殖に繋がると言われているので、その場合は冬眠を考えて見ましょう。
冬眠させたい場合は…
気温は5℃ぐらいであまり気温の変化しない場所に飼育スペースを映します。
水苔をたくさん入れて、そこに水を含ませます。
アカハライモリを入れるとその中に潜って冬眠をはじめます。
水苔が乾燥したりしないように様子をみて定期的に水を入れてあげましょう。
混泳する場合は?
アカハライモリは肉食なため、あまり混泳には向いていません。
小さい魚などは、食べてしまいますし、そもそも生活環境が違うため魚と一緒の環境には向きません。
その他の両生類であっても、傷つけあることがあるので、避けましょう。
ただし複数飼いは問題になることが少ないので、繁殖も見越して何匹か飼ってみるのがオススメです。
まとめ
小さくて誰でも飼いやすい、かわいいペットのアカハライモリをみてきました。
飼育環境を整えるのは、ある程度簡単なので初心者には向いているペットですね。
個別に飼育環境を作ることもできますが、アカハライモリとセットでプラケースや砂利など必要なものがまとめられているものも見かけるので、そちらで飼育をはじめてみるのもオススメです。
イモリウムを作り込むのも面白いので、ぜひ挑戦してみましょう!