これから飼育を始める人向け

ヘルマンリクガメの生態と飼育方法【初心者向け】

カメの飼育といえば、多くの方がまず最初に想像するのは、縁日等で手に入れたミドリガメを水を入れた水槽で飼育する事ではないでしょうか?

今回紹介するヘルマンリクガメはなんと泳げません!そして野菜を食べます!

では詳しく見ていきましょう。

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ヘルマンリクガメの生態や寿命

特徴

その名の通り陸で生活するカメです。生息地はヨーロッパの森林や低木のある比較的乾燥した地域です。
日本の気候によく似た地域なので、飼育に関して他の爬虫類と比較してそれほど気をつかわずに済みます。

ヘルマンリクガメは実は3種類いるのです
これは生息地の違いで分かれており、
「ヒガシヘルマンリクガメ」「ニシヘルマンリクガメ」「ダルマティアヘルマンリクガメ」この3種類で、主にショップで販売されているのはヒガシとニシで、ややヒガシの方が流通量が多いです。

種類が違うとどう違いがあるのかというと、まず体の大きさが違います。
具体的な大きさは後記します。

その他の違いとしては、ニシは体が黒っぽいです。乾燥を好み寒さに弱いので冬眠が出来ません。
ヒガシは体が黄色っぽく、湿気と寒さに強く、冬眠出来ます。(飼育下での冬眠はオススメしません)
ダルマティアはなかなかショップでは見かけないと思います。私も実物は見たことがありません。

体の大きさ

爬虫類全般の飼育に共通なのですが、生体の成長後の大きさはかなり重要です。
犬や猫のように放し飼いで飼育をするというのは不可能ではありませんが、温度管理等でかなり高いハードルがあります。最終的にどれ位の大きさになるのか飼育前に必ず確認してほしいです。
後記する飼育設備を生体の購入前に準備する必要があります。

ではヘルマンリクガメの種類別の大きさを確認していきましょう。(ここでの大きさとは甲羅の直径でお話します。頭と尻尾は入っていません)
最大種のヒガシヘルマンリクガメは最大35㎝、平均で30㎝前後です。
ニシヘルマンリクガメは一回り小さく、最大20㎝、平均で18㎝前後です。
最小種のダルマティアヘルマンリクガメは最大で17㎝、平均で15㎝前後です。


見てわかるように大きさに結構な差があります。購入する際に必ず種類の確認をしていきましょう。もし販売側が種類をわからない場合、そのショップでの購入は止めておくことをおススメします。

寿命

カメと言えば長寿!というイメージがあると思います。
ですが、実際に一万年だと石器時代に産まれたカメが今も生きている事になってしまうので、そこまでではありません。
平均で30年前後の寿命です。
かなり寿命が長いので、シビアな話ですが、自分の年齢と照らし合わせて、カメが寿命を全うできるような態勢を考えておく必要があるかもしれません。

食性

草食性が強い雑食です。
野生では野草の他、昆虫や陸棲の貝等も食べています。
飼育時のエサに関しては後記します。

性格

これは生き物なので個体差があり、一概にこういう性格だと言い切るのは難しいですが、
おおらかな子が多く、温和で噛みつくような事もほぼないと思います。
活発で人にも馴れますが、犬や猫のような懐くとは根本的に違います。
これは爬虫類である以上仕方がありませんので、事前に知っておきましょう。

 

値段と購入方法

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ヘルマンリクガメがどのような生き物なのかなんとなくおわかりいただけたでしょうか?
次はヘルマンリクガメを飼育するにはどうすればいいのかを詳しく見ていきましょう。

飼うにあたってまず気になるのはお値段ですよね。
残念ながらメジャーな水棲亀のように数百円~というわけにはいきません。
最低でも20,000円前後はします。
全国各地で定期的に爬虫類の即売会イベントが開催されており、そこではイベント価格で多少お安くなっていたりもします。

販売場所は専門ショップの他、ホームセンターのペットコーナーでも時折入荷されている事もあります。

ヘルマンリクガメは爬虫類なので、販売に関して対面販売というものが法律で義務付けられています。
これにより実際に販売者と購入者が対面して現物(購入する生体)確認と飼育に関する説明が必要ですので、通信販売での購入は不可能です。
個人的には生き物を購入する時には、自分の目でこれ!と思う子を選んで欲しいな、と思います。
甲羅にも顔にも個性があったりしますので、是非自分のお気に入りを探しましょう。
私はその探している時のワクワク感が大好きです。

これも個人的な意見ですが、特に初めて飼育する生体は出来るだけ近場の専門ショップでの購入をオススメします。
その後の飼育相談がしやすいからです。実際に飼ってみると、色々とわかんない事が出てくるものなのですよ。

飼育に必要な設備(餌・床材・温度・ケージetc)

ここが一番大事です。そして一番お金がかかってしまうところです。
しっかりと準備しないとヘルマンリクガメの健康に関わってきますので、必ず確認しておきましょう。

ケージ

ゲージじゃなくてケージです。
直訳すると檻ですが、檻といっても犬や猫と違い、爬虫類ケージは水槽のように全面に囲いがあるものでの飼育が一般的です。
何故全面メッシュではダメなのかというと、温度管理の面で問題があるからです。(上部のみ金網等のメッシュになっているものもありますが。)

爬虫類を沢山飼育している人ではエアコン管理が一般的です。
ですが、エアコンで一部屋丸ごと一年中27℃~30℃に保つことが可能であれば問題ないですが、なかなか現実的ではないですよね。

ケージの大きさも重要なところですが、これは考え方により選び方が変わってきます。
ヘルマンリクガメの最終的な大きさは上でお話ししましたが、当然子供の頃は小さいです。
産まれたてだとピンポン玉サイズで、ショップで販売しているベビーも小さいと手のひらサイズです。

ケージ選びの考え方は2種類あり、最初から成長後も飼育出来る大きさのケージを用意する、もしくは成長に合わせてその時の大きさに合ったケージに交換していくというものがあります。

これはどちらにもメリットとデメリットがあります。

まず最初に最大のケージで飼育するパターンから
メリットとしては最初に一つケージを用意したら、壊れたりしない限りそれで終生飼育出来るので、ケージに関する出費は最小限で済みます。
大きい分初期投資は大きくなってしまいますが、結果的にみると交換していくよりも安く済みます。
デメリットとしてはケージが大きい分温度管理がやや大変です。(エアコン管理の場合は無関係です)
特に冬場に温める際、生体の大きさの割に強い熱源が必要になってしまいます。

成長に合わせてケージを交換していくパターンのメリット、デメリットはこの逆と考えてください。

具体的にどんな大きさのケージを用意すればいいのかというと、
ベビーの時には60㎝水槽(ホームセンター等で売っている一般的な大きさの水槽)があれば十分だと思います。
最終的なケージは90㎝~120㎝が必要です。
この位の大きさの水槽だとお値段も重さも結構な負担になるかもしれません。
中には衣装ケースで飼育している方もいるようです。

ケージのオススメは、自作ケージです。
置き場所に合わせてピッタリの大きさにする事も出来ますし、様々なカスタマイズも可能です。なんといっても購入するよりかなり安く済みます。
「爬虫類 自作ケージ」で検索すると作り方も色々と出てきます。私の家の爬虫類は全て自作のケージで飼育していますよ。

ライト

単なる明かりを取る為だけではありません。
爬虫類飼育にはライトはとても大切なのです。

ヘルマンリクガメを飼育する為に必要なライトは2種類あります。

まず一つ目、バスキングライト
生体の体を温める役割です。

爬虫類は変温動物なので体温は外気温によって変化します。
つまり暖かい場所で体を温めないと活動が出来ません。

その暖かい場所(32℃~38℃)をホットスポットと呼び、ケージ内にホットスポットを作るのがバスキングライトの役目です。

続いて2つ目のライト、紫外線ライトです。
その名の通り紫外線を出す為のライトです。

昼行性の爬虫類にとって紫外線とは骨や甲羅の硬質化の為に欠かせません。
昼間に十分な時間、外で日光浴させられるのならば紫外線ライトは必要ないとも言えますが、週一回、15分程度の日光浴では足りない可能性があります。
また最も重要なUV-Bはガラス越しではかなりカットされてしまいます。
特に冬場は気温の問題もあり、なかなか外での日光浴が難しいと思います。
そう考えると紫外線ライトも設置しておいた方が安心と思います。

紫外線ライトには一つ注意点があります。
それは紫外線ライトには寿命があるということです。
普通の蛍光灯のようにライトがつかなくなれば寿命というわけではなく、ライトがついていたとしても寿命を過ぎた紫外線ライトからは紫外線が照射されません。
半年から1年で交換が必要になりますので、紫外線ライトの設置日はチェックしておきましょう。

床材

床材とはケージの床に敷く物のことです。
爬虫類には爪があるものが多く、ツルツルした場所では滑って上手く歩くことが出来ません。ヘルマンリクガメにも爪があるので滑らないよう床材が必要です。
特にベビー時は骨が固まっておらず、その時期に上手く歩けない環境で飼育してしまうと、骨が変形して歩行困難になってしまう可能性があるので、注意が必要です。

床材にはこれを敷けば正解!という物がありません。例をあげてみると
ウッドチップ(木屑)、人工芝、園芸用の赤玉土、ヤシガラマット等様々です。

生体が歩きやすい物ということを大前提にして、脱臭効果や掃除のしやすさ等を考えて試行錯誤してみる事をおススメします。

水入れ

水入れはヘルマンリクガメが水を飲むためだけではなく、中に入って水浴びしたり、水の中でフンをする事も多いのである程度大きい物を用意しましょう。

また軽い容器だとヘルマンリクガメが水入れをひっくり返してケージ内をびしょびしょにされてしまいます。
ヘルマンリクガメが乗ってもひっくり返らないある程度の重さがある物をおススメします。

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エサ

最後はエサについてです。
飼育している中でエサをあげる時間が飼育者にもカメにも一番楽しい時間だと思います。
ただ喜んで食べるからといって間違ったエサを与えているとヘルマンリクガメの健康に関わってきます。しっかり調べましょう。

上で雑食と書きましたが、飼育下でのエサは野菜、野草をメインで与えるのが望ましいです。
一般的には小松菜、チンゲン菜等の葉物野菜をメインに与える方が多いようです。
果物も喜んで食べると思いますが、あくまでもオヤツ程度にしてください。
果物のみで飼育するのは果糖や栄養素の面で健康上問題があります。

また日本の野菜や野草は、ヘルマンリクガメの原産地のものよりカルシウム含有量が少ないものが多いです。
爬虫類用のカルシウムパウダーをふりかけて、足りないカルシウムを補ってから与えるようにしましょう。
カルシウムが足りないと骨や甲羅の成長に問題が出てきます。

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まとめ

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長々と書いてしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

最初に想像したよりも飼育に関して必要な物が多かったのではないでしょうか。

それなりに費用はかかってしまいますが、その費用以上に活発に走り回る姿や、カメがエサで興奮する姿に癒しをもらえると思いますよ!