「サバンナモニター」という爬虫類の名前を聞いたことがあると思います。毎年春になると大量のベビーが色々な爬虫類ショップに入荷されますね。
今回はそのサバンナモニターについてどんな生き物なのか、基本的な生態や飼い方について解説していきます。
飼い方を学べば初心者の方でも飼育することができます。
爬虫類の飼育に興味のある方は、是非この記事を参考にサバンナモニターの飼育にチャレンジしてみてください。
目次
1.サバンナモニターとは
出所)https://www.crestwoodvethospital.com/savannah-monitor-care-varanus-exanthematicus/
サバンナモニターはアフリカに生息するトカゲです。オオトカゲの中では小さく最大全長1m程度ですが他のモニターに比べて尾が短く胴体が太いのでドッシリとした印象を受けます。
生態
乾燥した草原 (サバンナ) に生息していますが、日中の暑さから逃れるために、また安全のために頻繁に穴を掘っています。
自然界では、これらのトカゲは、セネガル東部からスーダン低地、ケニア西部にかけてまばらな草原や季節的に乾燥した荒れ果てた場所に生息しているため、飼育環境はこれらの条件を模倣する必要があります。
野生のサバンナ モニターは非常に日和見的な肉食動物で、ハゲワシに少し似ています。これらのトカゲは腐肉を食べますが、ほとんどのモニターのように、彼らの食事は主に大型の無脊椎動物で構成されています。餌には、昆虫 (バッタ、コオロギおよびその近縁種)、ヤスデ、ナメクジ、カブトムシ、サソリが含まれます。
野生のサバンナモニターの調査によると、セネガルではヤスデが成虫の最も一般的な獲物でした。ガーナでは、小さなコオロギが生後 2 か月未満の動物の食事の大部分を占めていました。一方、直翅類、サソリ、両生類は生後 6 ~ 7 か月の動物の最も一般的な獲物でした。
大きさ
大きさは成体で約1mほどとなります。ずんぐりむっくりした身体なので、サイズ感と比べると大きく見えます。そして、市販の爬虫類用ケージは最高でも幅90cm程度なのでサバンナモニターの生体を扱うには小さすぎます。特製のケージか放し飼いでの飼育が必要になります。
成体を持ち抱えると確実に腕に切り傷ができます。大きい上に爪が鋭いので。ただ、無闇に人間を攻撃することはないです。
性格
サバンナモニターは基本的には動きもゆっくりしているのでハンドリングも可能です。ただし、肉を噛み砕ける歯を持っているので噛まれると非常に痛いです(筆者は噛まれたことはないのでおそらくですが)。ハンドリングをして触れ合う生体、としておすすめする種類ではないです。ハンドリングも可能、が正しい生き物です。
また、爬虫類は人に触られて喜ぶ生き物ではありません。適切な触れ合い方で接していけば早く懐いてくれます。そして生き物なのでそれぞれに性格があることを理解した上で飼いましょう。
2.サバンナモニターを購入しよう
販売されている場所
・総合ペットショップ
・ホームセンター
・爬虫類専門店
・爬虫類イベント
総合ペットショップには爬虫類コーナーがあるところが多く、飼育用品や餌も販売されています。春から夏にかけてであれば定期的にサバンナモニターが大量に入荷するので、チェックしておくと良いでしょう。
ホームセンターでも近年では爬虫類を販売しているところが増えています。しかし店員さんが爬虫類に詳しいかどうか、また飼育用品が充実しているかどうかはお店によるところです。ペットショップと比べると取り扱っている種類は少ないかもしれません。
初心者の方は爬虫類専門店で買うのをおすすめします。飼育に詳しい店員さんがいて飼育用品も揃ってあるので安心して購入できます。
また、専門店であれば数多くのサバンナモニターを取り扱っていることが多く、その中からお気に入りの一匹を見つけることができます。サバンナモニターは入荷時にはベビーで大量に入荷される傾向にあるので、色々な生体を見た上で気に入った個体を購入するのが良いです。
爬虫類イベントではお店よりも安く爬虫類を購入することができます。イベントで購入する場合は、事前に飼育用品を揃えてセットしておくべきです。また混雑している場合は店員さんに話しかけづらいなどの心配点があります。
サバンナモニターの値段
サバンナモニターは数千円程度の個体が多いです。
大量に入荷し、値段も安いため初心者向けの爬虫類と思われるサバンナモニターですが、巨大になることから適切な飼育を実現することが難しい種類になります。
また、飼育下では餌の与え過ぎとケージの狭さから肥満で早死にする個体も多いとされています。購入前にきちんと成体になっても飼育可能かを検討しましょう。
3.サバンナモニターの飼育に必要なもの
出所)https://reptilesmagazine.com/breeding-savannah-monitors/
ここからはサバンナモニターの飼育に必要なアイテムを紹介していきます。
できれば生体を迎える前に揃えてセットしておくと、お迎え当日スムーズに家に連れて帰ることができます。
以下のものが飼育に必要になります。
・ケージ
・シェルター
・水入れ
・床材
・バスキングライト・紫外線ライト・保温球
ケージ
サバンナモニターの飼育には、大型のケージが必要です。ベビーの時は90cmケージで問題ないですが、あっという間に成長します。最初から大型のケージを用意しておきましょう。といってもケージは爬虫類用ケージでは適当なものを見つけることが困難です。猫用のケージや植物用の温室などを活用している人が多いです。
理想は部屋を一つサバンナモニターが自由に動き回れるように解放することです。ただ、非現実的ですよね・・。とにかく飼育する前にアダルトのサイズ感を見て問題ないかを考えた上で購入することを勧めます。
また、逃げれないように蓋をしっかりと閉めるケージにしましょう。大型の爬虫類が野外に脱走した場合ニュースになることもあります。無用な摩擦を生まないように気をつけましょう。
シェルター
落ち着かせるために隠れる場所を設置しましょう。特にベビーの頃は臆病なので隠れる場所があると安心します。
大きくなるにつれて臆病な性格ではなくなり、シェルターも不要になります。ただサバンナモニターは穴を掘って生活している生き物です。適度に隠れるスペースがあると良いでしょう。
水入れ
水入れは水を飲むという意味でも必要ですが、サバンナモニターは水入れを設置するとその中に入ることがあります。自然下でも水辺を泳いだりするようです。
成体全身入る水入れとなると衣装ケースなどになります。
床材
湿度を保ちやすい素材のものがいいです。
床材には以下のようなものがよく使われています。
ヤシガラ | 保湿性が高く見た目もいいです。燃えるごみとして出せるのもメリットです。 |
---|---|
爬虫類用ソイル | 保湿性が高く、バクテリアが繁殖してフンなどを分解してくれます。生体が良く湿ったソイルを踏んだあとケージ内が汚れてしまうことがあります。 |
ミズゴケ | 保水力や弾力性があります。前面に敷く場合は濡らしすぎなどに注意しましょう。 |
バークチップ | 園芸用で安く販売されており湿度や温度を保ってくれます。見た目も美しいです。 |
キッチンペーパーやペットシーツなどの紙類 | 見栄えを気にしなければコストがかからず汚れたら頻繁に交換でき、床材として使えます。保湿性が低く、成体の誤飲の危険もあるのでよく観察しましょう。 |
穴を掘れるような厚さでヤシガラや湿度を保ちやすい爬虫類用ソイルなどを使うと良いです。
バスキングライト・紫外線ライト・保温球
まず、昼行性のトカゲなのでバスキングライトと紫外線ライトは必ず設置しましょう。飼育下ではよく日光浴をするシーンを見かけます。
次にサバンナモニターはアフリカ産のトカゲですので寒さは苦手です。温度が極端に下がると生体が亡くなってしまうリスクがあります。それを避けるために常に一定の温度をキープしておいた方が安全です。
一番安価でお手軽な方法は、保温球を設置することです。大型の保温球を設置することで大型のケージの内部を温めることができます。
エアコンで部屋全体の温度管理をする、というのも一計です。ケージが大きすぎて保温球では温まりきらない場合はエアコンを活用しましょう。
4.サバンナモニターの飼育方法
出所)https://savmon.org/
餌
サバンナモニターの主な餌は昆虫となります。
・デュビア
・ミルワーム
などを与えます。
どれもペットショップなどで手に入ります。
爬虫類を飼育している人の中で最も定番とされているのがコオロギです。
ペットショップやホームセンターで販売されていて簡単に入手できます。小さいサイズから大きいサイズまで多様なサイズのコオロギを購入することができるのでサバンナモニターの大きさに合わせた餌を用意することが簡単です。
ただ、コオロギは大量に購入して管理しておくことが難しいです。少し多めに買って家にある余った虫かごに入れておこう!と思うかもしれませんが、それが結構難しいのです。
コオロギは意外にも繊細でストレスに弱いので、ちゃんと管理しなければすぐに死んでしまいます。飲み水がなくなったり、湿度が高すぎたりすると大量死していまいます。ですので必要な量だけを定期的に爬虫類店舗などで購入することが求められます。
餌になる虫の管理までする自信がないという方はミルワームがおすすめです。
カップにたくさん入っており冷蔵庫で保存すれば餌を与えなくても管理できるため、管理がとても楽です。サバンナモニターもミルワームはよく食べてくれるので主食とすることは可能です。ただしミルワームは栄養素が少し少ないと言われていますので、栄養価の高い餌をミルワームに食べさせた上で与える手法をお勧めします。
他にもデュビアは管理がしやすく放って置いても死ににくいのでおすすめです。色々な餌を与えてみて嗜好性も確認しておくのが良いでしょう。
目安としては成体には2〜3日に1度、幼体には毎日餌を与えることがおすすめです。ただし、個体によってどれだけ食べるかは差がありますので様子を見ながら与えるようにしてください。肥満には注意しながらも様子を見ながら求める量をあげるようにしましょう。
また昆虫や人工飼料だけでは不足しがちなカルシウムやビタミンはサプリメントで補いましょう。
爬虫類用のサプリメントを昆虫にまぶしたり、人工飼料につけて与えるだけです。
特にベビーの時期は毎日添加してあげてください。
あまり生きた昆虫を扱いたくない、という方は冷凍コオロギや乾燥コオロギを与えるということも出来なくはないです。ただし、最初は生きたコオロギをピンセットで与えて、ピンセットに摘まれているもの=餌と認識させた上で冷凍コオロギや乾燥コオロギをピンセットで摘んで与えるといった努力が必要になります。
ハンドリング
サバンナモニターは慣らせば容易にハンドリングできるようになります。
日頃ハンドリングに慣れておけばケージ内の掃除や体調の確認など、ストレスを与えることなく触れることができるので是非練習しておきましょう。
ハンドリングする際には生体を驚かせないよう優しく触れ合うようにしましょう。素手で触れ合うのは傷がつく可能性が高いので革手袋などをして触れ合う方が安全です。
ハンドリングは長時間を避け、生体の様子をよく見ながら行いましょう。
日常のお世話
餌やりや糞の掃除以外に日常のお世話でしておくべきことは「爪切り」です。運動量が不足し、自然下とは異なり硬い石の上などを移動しない飼育下においては爪が伸びすぎることが多いです。
爪が伸びすぎるとハンドリング時に傷つけられる可能性が高まりますし、サバンナモニターとしても歩きづらくなります。
そこで爪の先端を爪切りなどで切ってあげると良いでしょう。深爪すると血が出てくる可能性があるので先端だけにとどめ、定期的にメンテナンスしてあげてください。
5.サバンナモニターを飼ってみよう
サバンナモニターの迫力は素晴らしく、まるで恐竜を飼育しているかのような気分を味わえる生き物です。
ただ、大きなスペースが必要となるので手軽に飼育できるとは言えません。またパワーも強いため、小さな女性など力に自信がない方は避けた方が良い生き物かもしれません。
販売されている時はベビーで可愛らしい姿ですが一年も経つと大きくなり恐竜のような雰囲気になります。購入時にはアダルトの様子を事前に確認した上で覚悟を持って購入しましょう。
ただ、他の生き物では味わえない体験をすることができる、素晴らしい生き物です。覚悟を持って飼育すれば必ず素敵な体験になることでしょう。
平均寿命は約10年と言われており、長生きする生き物です。
最後まで愛情を持ってお世話できるかどうかよく考えてからお迎えしてくださいね。
是非この記事を参考にサバンナモニターの飼育にチャレンジしてみてください!
よければ以下の記事もご覧ください。