皆さんはジャイアントゲッコーという生き物をご存じでしょうか。
ジャイアントゲッコーは最も体重の重いヤモリと言われており、大きくモチモチした体に特徴的な目を持つ可愛らしいヤモリです。
今回はそのジャイアントゲッコーについてどんな生き物なのか、基本的な生態や飼い方について解説していきます。
飼い方を学べば初心者の方でも飼育することができます。
爬虫類の飼育に興味のある方は、是非この記事を参考にジャイアントゲッコーの飼育にチャレンジしてみてください。
目次
1.ジャイアントゲッコーとは
出所)https://reptilerapture.net/LEACHIANUS-GECKO_ep_149.html
分布
ニューカレドニア本島及び周辺諸島に生息しています。
太平洋に浮かぶ島でリゾート地としても有名です。
年間を通して寒暖差は小さく、平均気温は約24℃もある常夏の島です。
ニューカレドニアにはジャイアントゲッコー以外にもさまざまな生物が生息しており同じヤモリであるクレステッドゲッコーやガーゴイルゲッコーなどの生息地でもあります。
生態
ジャイアントゲッコーは樹上性ヤモリなので普段は森の中の木の上で生活しています。
木の穴の中に隠れていることが多いようです。
基本的には夜行性ですが、昼間に日光浴することもあります。
飼育下でも、部屋の電気を消して暗くするとケージ内をピョンピョンと飛んで活動し始めると思いますよ。
食性は雑食で、野生では昆虫や陸棲の貝類、小さな爬虫類、花、果実などを食べて生活しています。
大きさ
大きさは約25~40㎝で、ニューカレドニアのヤモリの中では最大のサイズになります。
販売されている個体はまだ小さなベビーから育ったサイズまでさまざまです。
和名は「ツギオミカドヤモリ」と呼びますが、その名の通り、「継ぎ尾」、再生尾のような尻尾がついています。尻尾は短く体が大きいのでかなりのサイズ感があります。
「グランテラ」と呼ばれるニューカレドニア本島に生息するジャイアントゲッコーは大きくなり、30cmを超えることは珍しくないです。
諸島に生息するジャイアンとゲッコーは「ヘンケリー」と呼ばれますが、こちらは少し小さめで25cm程度が一般的でしょうか。ただどちらにしても体重は200gを超え、重量感があります。
最大サイズで30cm後半になります。このサイズになると取り扱いが怖いレベルです。そして大きい個体は人気があるため高額になります。
ジャイアントゲッコーの産地(グランテラ、ヘンケリー)
見た目の通り体はモチモチしていてとても触り心地が良いです。
また体色や模様はさまざまで、ベースとなる体色だけでも多様な種類があります。ジャイアントゲッコーは産地で販売されていることが多いです。以下に代表例を紹介します。
『グランテラ』
・Poindimie:最も人気のある産地です。色は全体的に深い緑か黒になり、白いスポットが入るような個体になります。顔や体型は細長く大きくなる傾向にあります。また、性格的には荒いと言われています。見た目がかっこいいので世界中で人気があり、国内で販売される場合は100万円〜という超高額の値段になります。
・Yate:最も体重が重くなる産地と言われています。400gを超えるような個体もいます。カラーリングは多様ですが、最も有名なパターンは黄色・ゴールデンの個体です。こちらも大きくなることから人気があり、高額で取引されています。
また、PoindimieとYateの子供は「TypeA」という名称で販売されることが多いです。
『ヘンケリー』
・Nuu Ana:最も小さい(200gに達しない場合も多い)産地です。ただ、ヘンケリーはカラーリングが豊富で美しい個体が多く、この産地の個体は美しい個体が多いです。ピンクや紫のカラーが体色に出て、美しいです。
・Pine:ヘンケリーの中では大きくなると言われており、300gを超える個体もいるようです。こちらもNuu Ana同様カラーリングはかなり豊富で、美しい個体が多いです。
総じて見た目の特徴としては、大きくてシンプルなカラーリングが「グランテラ」、小さくてカラーリングが豊富で美しいのが「ヘンケリー」といえます。もちろん例外はありますが。
また、モルフと呼ばれる産地にこだわらない種類も何種類かいます。
代表的なのは「メラニスティック」です。
こちらは、真っ黒になる個体です。(常時真っ黒ではなく、日によって薄くなったりはするようですが)
性格
ジャイアントゲッコーは基本的には大人しい性格をしているので、爬虫類の飼育初心者の方にもおすすめしやすいヤモリです。
動きもゆっくりしているのでハンドリングも可能です。
ただ爬虫類は人に触られて喜ぶ生き物ではありません。
適切な触れ合い方で接していけば早く懐いてくれます。
中には神経質でずっと隠れっぱなし、という個体もいるかもしれません。
生き物なのでそれぞれに性格があることを理解した上で飼いましょう。
2.ジャイアントゲッコーを購入しよう
販売されている場所
・総合ペットショップ
・ホームセンター
・爬虫類専門店
・爬虫類イベント
総合ペットショップには爬虫類コーナーがあるところが多く、飼育用品や餌も販売されています。ただ入門種をよく取り扱っていることが多いので、ジャイアントゲッコーが販売されているかどうか事前に聞いておく方がいいかもしれません。
ホームセンターでも近年では爬虫類を販売しているところが増えています。しかし店員さんが爬虫類に詳しいかどうか、また飼育用品が充実しているかどうかはお店によるところです。ペットショップと比べると取り扱っている種類は少ないかもしれません。
初心者の方は爬虫類専門店で買うのをおすすめします。飼育に詳しい店員さんがいて飼育用品も揃ってあるので安心して購入できます。
また、専門店であれば様々な種類のジャイアントゲッコーを取り扱っていることが多く、その中からお気に入りの一匹を見つけることができます。ジャイアントゲッコーはカラーリングが豊富なため、色々な生体を見た上で気に入った個体を購入するのが良いです。
爬虫類イベントではお店よりも安く爬虫類を購入することができます。イベントで購入する場合は、事前に飼育用品を揃えてセットしておくべきです。また混雑している場合は店員さんに話しかけづらいなどの心配点があります。
ジャイアントゲッコーの値段
ジャイアントゲッコーの価格は20万円~と高額になっています。
中には100万円を超えるような個体も販売されています。
大型になるため大量に飼育するということが難しく、またクレステッドゲッコーなどと比較し生まれる卵の数が少ないため高額になっています。
また、基本的には人気があり珍しい産地やモルフの個体は高額になる傾向があります。
そして産地が明確になっているもの(他産地と混ざっていない)も高額になる傾向にあります。
あまり拘りがなければ産地を気にせず比較的安く購入することは可能です。
3.ジャイアントゲッコーの飼育に必要なもの
出所)https://www.lornasredskygeckos.com/r-leachianus.html
ここからはジャイアントゲッコーの飼育に必要なアイテムを紹介していきます。
できれば生体を迎える前に揃えてセットしておくと、お迎え当日スムーズに家に連れて帰ることができます。
以下のものが飼育に必要になります。
・ケージ
・枝などの登れるもの
・水入れ
・床材
・パネルヒーター
ケージ
ジャイアントゲッコーは樹上性ヤモリなので、高さのあるケージを選びましょう。
また、大きくなるので幅のあるケージを用意しましょう。
ヘンケリーであれば高さ45㎝幅60㎝あるケージであれば十分飼育できます。
なお、グランテラの大型個体であれば幅90cmあるケージが望ましいです。少しずつ大きくなっていくので様子を見てケージを大きくしていくという形で良いかと思います。
ケージは必ずフタがついていてしっかり閉めることができるものにしましょう。
少しの隙間があれば簡単に脱走されてしまいます。体は大きいですがヤモリなだけあって、一度逃げると探すのが大変です。隠れるのは上手です。
枝などの登れるもの
枝や流木などを入れてジャイアントゲッコーが登れる場所を作りましょう。
爬虫類用品としてワイヤーが入っていて自由に曲げることができるこちらの商品もおすすめです。
また、流木や観葉植物などを入れてもいいでしょう。特にコルクを置くと、落ち着くのかその中に隠れていることが多いです。
水入れ
ジャイアントゲッコーに水を飲んでもらうためにもケージ内に水入れを設置しましょう。
吸盤で好きなところに貼り付けて使うことができるこちらの商品がとても使いやすいです。
水入れから水を飲んでいる姿が見られなければ、ケージの内側に霧吹きしてあげましょう。
垂れてくるしずくをペロペロと舐めてくれると思います。
体が大きいこともあり、水はよく飲みます。水入れをきちんと置いて、毎日霧吹きをしてあげるくらいがちょうど良いかと思います。
床材
湿度を保ちやすい素材のものがいいです。
床材には以下のようなものがよく使われています。
ヤシガラ | 保湿性が高く見た目もいいです。燃えるごみとして出せるのもメリットです。 |
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爬虫類用ソイル | 保湿性が高く、バクテリアが繁殖してフンなどを分解してくれます。生体が良く湿ったソイルを踏んだあとケージ内が汚れてしまうことがあります。 |
ミズゴケ | 保水力や弾力性があります。前面に敷く場合は濡らしすぎなどに注意しましょう。 |
バークチップ | 園芸用で安く販売されており湿度や温度を保ってくれます。見た目も美しいです。 |
キッチンペーパーやペットシーツなどの紙類 | 見栄えを気にしなければコストがかからず汚れたら頻繁に交換でき、床材として使えます。保湿性が低く、成体の誤飲の危険もあるのでよく観察しましょう。 |
ヤシガラはジャイアントゲッコーにとって重要な湿度を保つことができ、見た目も自然な雰囲気で特におすすめです。
爬虫類用品として販売されているものは生体の安全を考えて作られています。
パネルヒーター
ジャイアントゲッコーの適温は約25~27℃です。
無加温で1年間過ごすことは難しいでしょう。
部屋全体をクーラーやヒーターで管理するのが最も望ましいですが、なかなかそれは難しいので寒い時期はパネルヒーターをケージの一部に設置しましょう。
パネルヒーターは通常ケージの下に敷いて使うことが多いですが、ジャイアントゲッコーは樹上性で基本的にはケージの上部にいるのでケージの壁面に貼り付けて使います。
設置するときは壁面の全てを覆わず、一面だけ設置してください。
寒ければその場所に近づき暑くなれば離れられるようにするためです。
夏場は締め切った部屋だと室温が30℃を超える場合があり危険です。
クーラーで温度管理するのが1番です。
ジャイアントゲッコーは頑丈なヤモリなので少し寒い・暑いくらいではびくともしないですがやはり餌喰いが落ちるといった弊害が出てきます。出来るだけ快適な温度をキープしてあげましょう。
4.ジャイアントゲッコーの飼育方法
出所)https://geckotime.com/three-to-get-ready-rhacodactylus-leachianus/
餌、サプリメント
ジャイアントゲッコーには
・デュビア
・人工飼料
などを与えます。
どれもペットショップなどで手に入ります。
初めは生き餌をメインに与え、少しずつ人工飼料を与えて慣れさせていきます。
人工飼料はストックが楽で栄養バランスを考えられて作られているのがメリットです。
クレステッドゲッコー用として作られている人工飼料を与えて大丈夫です。人工飼料のみで飼育ができる点がジャイアントゲッコーの良い点です。ただ、昆虫も好きなようでコオロギをたまにあげると喜んで食べてくれます。定期的に様々な餌を与えると良いでしょう。
また昆虫や人工飼料だけでは不足しがちなカルシウムやビタミンはサプリメントで補いましょう。
爬虫類用のサプリメントを昆虫にまぶしたり、人工飼料につけて与えるだけです。
特にベビーの時期は毎日添加してあげてください。
餌やりは幼体の場合は毎日食べるだけ、成長したら頻度を減らして2~3日に1回与えます。
温度と湿度
ジャイアントゲッコーの適温は約25~27℃です。
寒いと食欲が落ちて病気の原因にもなります。
また暖かい島にいた生き物だから暑さには強いのだろうと考えてはいけません。
日本の真夏はジャイアントゲッコーにとっては暑すぎます。
ケージ内には温度計を入れて適温を保てているか毎日チェックしましょう。
また乾燥しすぎると脱皮不全や脱水を起こしてしまいます。
毎日霧吹きで床材やケージ内を湿らせるなど、よく気を付けてあげましょう。
ニューカレドニアのヤモリ全般に言えますが、足の指先に脱皮した皮が残ったままだと壁面を登ることができなくなりストレスで弱ってしまいます。脱皮していることが確認できた際は霧吹きを多めにしてあげましょう。
ハンドリング
ジャイアントゲッコーは大人しい性格のため、慣らせばハンドリングは容易にできます。
日頃ハンドリングに慣れておけばケージ内の掃除や体調の確認など、ストレスを与えることなく触れることができるので是非練習しておきましょう。
ハンドリングする際には生体を驚かせないよう優しく掴み、落ちないように手に乗せてください。
もし手の上から移動するようであれば無理に止めず落ちないよう自分も動きに合わせましょう。
ハンドリングは長時間を避け、生体の様子をよく見ながら行いましょう。また、ジャイアントゲッコーは口が大きく歯が鋭いので、噛まれるとかなり痛いです。無理に触ることはないようにしましょう。
繁殖
ジャイアントゲッコーの飼育に慣れてきたら、繁殖にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
生後3年ほどで性成熟するので繁殖が可能になります。
オスとメスの相性がよければ産卵してくれます。もしオスとメスを一緒にして喧嘩をするようであればすぐに離しましょう。ジャイアントゲッコーは大きいため、喧嘩する場合大きな怪我を負う可能性があります。できるだけ最初は様子を見るようにしましょう。
1度に1~2個の卵を産むので、すぐに暖かい場所へ隔離し約2か月ほどで孵化します。
ベビーが食べられるような小さなコオロギなどを用意しておきましょう。
繁殖をさせる場合には生まれたベビーを飼育するのか、またどこかに譲るのかを決めておくなど計画的に行いましょう。
5.ジャイアントゲッコーを飼ってみよう
出所)https://www.facebook.com/thereptilereport/photos/a.162989650479586/2616163991828794/?paipv=0&eav=AfaFrZ0ek-HAq1MCYiw3jDB0slV5bQv_paNJ6pTzNicraq4vByZFq0jniSl8U4w8XA4&_rdr
爬虫類の飼育というと、大きなケージでいろいろなライトをつけて…というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、ジャイアントゲッコーはライトなど大きな設備は必要なく簡単に飼育を始めることができます。
平均寿命は約20年と言われており、小さな体ですが長生きする生き物です。
最後まで愛情を持ってお世話できるかどうかよく考えてからお迎えしてくださいね。
是非この記事を参考にジャイアントゲッコーの飼育にチャレンジしてみてください!
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