「インドホシガメ」という爬虫類の名前を聞いたことはありますでしょうか?甲羅の模様が美しいリクガメで、動物園などでも見かけます。
今回はそのインドホシガメについてどんな生き物なのか、基本的な生態や飼い方について解説していきます。
飼い方を学べば初心者の方でも飼育することができます。
爬虫類の飼育に興味のある方は、是非この記事を参考にインドホシガメの飼育にチャレンジしてみてください。
目次
1.インドホシガメとは
出所)https://www.city.akita.lg.jp/zoo/information/1003682/1005304/1003884.html
インドホシガメは名前の通りアジアに生息するリクガメの一種です。インド、パキスタン、スリランカの灌木林や乾燥した農地に生息しています。甲羅全体の放射状の模様が、星のようで人気があります。
インドホシガメは、自然の生息地全体で保護されています。この保護にもかかわらず、大規模なグループがインドとスリランカから密輸されることが多く、最終的にマレーシアにたどり着くことがよくあります。インドの空港で税関職員が押収したホシガメの大群の報告を目にすることは珍しくありません。
生態
湿った落葉樹林、半乾燥した低地の森林、とげの低木林、乾燥した草原、半砂漠など、さまざまな場所に生息しています。
これらのカメは、季節的に湿ったまたは乾燥した生息地に対して高い耐性を持っており、多くの個体群がモンスーン (雨季) の後に暑く乾燥した期間が続く地域に住んでいます。
ホシガメは主に菜食主義です。主にさまざまな草で構成されていますが、機会があれば腐肉や昆虫を食べます。より乾燥した生息地タイプでは、新鮮な草はモンスーン期間中とその直後にしか利用できません。
干ばつと冷涼な気候が続く期間が長い間、ホシガメはかなり活動的でなく、長い間餌を食べずにいることができます。インドホシガメは、乾燥した森林を歩き回り、葉から果物、果実、乾燥した環境で生育しているさまざまな種類の花まで、さまざまな植物を探しています。
大きさ
平均すると甲長20~25cm程になるものが多いです。が、大きいものでは甲長37cm程に成長するとされています。
ケヅメリクガメなどと比較すると現実的に飼育できるサイズであることもインドホシガメが人気の理由です。
性格
インドホシガメは基本的には動きもゆっくりしているのでハンドリングも可能です。
ただ、爬虫類は人に触られて喜ぶ生き物ではありません。適切な触れ合い方で接していけば早く懐いてくれます。そして生き物なのでそれぞれに性格があることを理解した上で飼いましょう。
2.インドホシガメを購入しよう
販売されている場所
・総合ペットショップ
・ホームセンター
・爬虫類専門店
・爬虫類イベント
総合ペットショップには爬虫類コーナーがあるところが多く、飼育用品や餌も販売されています。そのような所でインドホシガメを販売していることを見かけるかもしれません。
ホームセンターでも近年では爬虫類を販売しているところが増えています。しかし店員さんが爬虫類に詳しいかどうか、また飼育用品が充実しているかどうかはお店によるところです。ペットショップと比べると取り扱っている種類は少ないかもしれません。
初心者の方は爬虫類専門店で買うのをおすすめします。飼育に詳しい店員さんがいて飼育用品も揃ってあるので安心して購入できます。
また、専門店であれば様々なインドホシガメを取り扱っていることが多く、その中からお気に入りの一匹を見つけることができます。インドホシガメは甲羅の模様が一匹ずつ異なるので、色々な生体を見た上で気に入った個体を購入するのが良いです。
ただ近年入荷量が減っています。ワシントン条約の付属書Ⅰに該当し、基本的には輸出入ができないためです。事前に店舗に相談し、在庫はあるか・入荷は可能かということを聞いてからお店を訪問することをお勧めします。
爬虫類イベントではお店よりも安く爬虫類を購入することができます。イベントで購入する場合は、事前に飼育用品を揃えてセットしておくべきです。また混雑している場合は店員さんに話しかけづらいなどの心配点があります。
インドホシガメの値段
一般的には20万円〜50万円程度の個体が多いと思います。特にオスは少ないようで高額になります。
3.インドホシガメの飼育に必要なもの
出所)https://reptilesmagazine.com/indian-star-tortoise-care-and-breeding-tips/
ここからはインドホシガメの飼育に必要なアイテムを紹介していきます。
できれば生体を迎える前に揃えてセットしておくと、お迎え当日スムーズに家に連れて帰ることができます。
以下のものが飼育に必要になります。
・ケージ
・シェルター
・水入れ
・床材
・バスキングライト・紫外線ライト・保温球
ケージ
インドホシガメは成体でもそれほど大きくならないため、爬虫類専用の90cmケージなどで飼育できます。また、協調性のある亀のため、複数匹で飼育することも可能です。ただオス同士は喧嘩することがあるので、オス・メスのペアで飼育するのが無難です。
シェルター
落ち着かせるために隠れる場所を設置しましょう。特にベビーの頃は臆病なので隠れる場所があると安心します。
大きくなるにつれて臆病な性格ではなくなり、シェルターも不要になります。
水入れ
水入れは水を飲むために必要です。加えてインドホシガメは水を好む個体が多く、水に浸かっている姿を見ることもあります。
また、インドホシガメの甲羅を綺麗に維持する上でも必要です。湿度が高い環境はカメの甲羅がスムーズに成長するのを助け、カメの水分を保つのに役立ちます。適切な湿度のない状態で飼育されたカメは、成長するにつれて急速に脱水し、「でこぼこの」甲羅を形成する傾向があります。
甲羅がでこぼこになることで命に関わるということはないですが、見た目が少し良くないです。綺麗な甲羅のまま大きくなるように気をつけてお世話をしましょう。
床材
湿度を保ちやすい素材のものがいいです。
床材には以下のようなものがよく使われています。
ヤシガラ | 保湿性が高く見た目もいいです。燃えるごみとして出せるのもメリットです。 |
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爬虫類用ソイル | 保湿性が高く、バクテリアが繁殖してフンなどを分解してくれます。生体が良く湿ったソイルを踏んだあとケージ内が汚れてしまうことがあります。 |
ミズゴケ | 保水力や弾力性があります。前面に敷く場合は濡らしすぎなどに注意しましょう。 |
バークチップ | 園芸用で安く販売されており湿度や温度を保ってくれます。見た目も美しいです。 |
キッチンペーパーやペットシーツなどの紙類 | 見栄えを気にしなければコストがかからず汚れたら頻繁に交換でき、床材として使えます。保湿性が低く、成体の誤飲の危険もあるのでよく観察しましょう。 |
インドホシガメは湿度が高い方が良いので湿度を保ちやすいヤシガラや爬虫類用ソイルなどを使うと良いです。
バスキングライト・紫外線ライト・保温球
まず、昼行性のカメなのでバスキングライトと紫外線ライトは必ず設置しましょう。飼育下ではよく日光浴をするシーンを見かけます。
インドホシガメは紫外線を求めます。屋内で飼育する際には強力な紫外線ライトをつけましょう。屋外で飼育する場合は太陽光が当たるのであればライトは必要ないです。
次にインドホシガメは寒さは苦手です。自然下では冬は冬眠をしていますが、温度が極端に下がると生体が亡くなってしまうリスクがあるため、冬眠を避けるために常に一定の温度をキープしておいた方が安全です。
特にインドホシガメは、呼吸器系の問題を起こしやすい可能性があります。カメが寒さを感じていると呼吸の問題が発生します。特にインドホシガメは、寒さと湿った状態の両方に同時にさらされるべきではありません。寒い天候下では、乾いた状態に保つ必要があります。
一番安価でお手軽な方法は、保温球を設置することです。大型の保温球を設置することで大型のケージの内部を温めることができます。
エアコンで部屋全体の温度管理をする、というのも一計です。ケージが大きすぎて保温球では温まりきらない場合はエアコンを活用しましょう。
4.インドホシガメの飼育方法
出所)https://animaldiversity.org/accounts/Geochelone_elegans/pictures/collections/contributors/david_behrens/Tortoise/
餌
インドホシガメの餌は野菜や果物です。小松菜・サニーレタス・人参・トマト・バナナ・リンゴなど幅広く野菜や果物を食べます。ネギなどの刺激物は与えないようにして、幅広い野菜や果物を与えましょう。
リクガメ向けの人工飼料も販売されています。固形物になっているので水でふやかして与えましょう。人工飼料は相性があるので全てのインドホシガメが食べてくれるわけではありません。試しに与えてみて反応を見ましょう。
また、甲羅の形成に関してはサプリメントの併用でより美しく形成されるとも言われています。ビタミンやカルシウムを添付して与えるようにしましょう。
餌やりは幼体の場合は毎日、成長したら頻度を減らして週に2〜3回ほどが目安の頻度です。ただ、飼育環境や個体差によって異なるので様子を見ながら与えるようにしましょう。
飼育下では野生に比べ運動量が少なく、肥満になりやすい傾向にあります。体重を管理し、増えすぎないように管理しながら餌を与えるようにしましょう。どうしても運動不足になりがちな飼育下では肥満になるリスクが高いです。
ハンドリング
インドホシガメは慣らせば容易にハンドリングできるようになります。
日頃ハンドリングに慣れておけばケージ内の掃除や体調の確認など、ストレスを与えることなく触れることができるので是非練習しておきましょう。
ハンドリングする際には生体を驚かせないよう優しく触れ合うようにしましょう。素手で触れ合うのは傷がつく可能性が高いので革手袋などをして触れ合う方が安全です。
ハンドリングは長時間を避け、生体の様子をよく見ながら行いましょう。
日常のお世話
餌やりや糞の掃除以外に日常のお世話でしておくべきことは「爪切り」です。運動量が不足し、自然下とは異なり硬い石の上などを移動しない飼育下においては爪が伸びすぎることが多いです。
爪が伸びすぎるとハンドリング時に傷つけられる可能性が高まりますし、ケヅメリクガメとしても歩きづらくなります。
そこで爪の先端を爪切りなどで切ってあげると良いでしょう。深爪すると血が出てくる可能性があるので先端だけにとどめ、定期的にメンテナンスしてあげてください。
繁殖
梅雨が明けると繁殖期が始まります。交尾から約 60 ~ 90 日後、通常は夕方になると、メスは歩き回り、地面の匂いを嗅ぎ始めます。初年度、雌は 1 ~ 9 個のクラッチを産み、1 つのクラッチにつき 1 ~ 10 個の卵を産みます。潜伏期間は 47 ~ 180 日です。野生では、メスは 8 ~ 12 年、オスは 6 ~ 8 年で性的に成熟しますが、飼育下のカメではこれらの時間を大幅に短縮できます。
また、インドホシガメは TSD (温度性決定要因) であり、孵卵温度が孵化したばかりの子の性別を決定することを意味します。31~32度の温度で雌を産み、雄を産む28~29度で孵化した卵よりも早く発育します。
当種はワシントン条約付属書1に掲載されているため国際的な取引が原則禁止されています。そのため国内において繁殖を進めることは非常に重要です。ペアを入手できた幸運な方は是非繁殖にチャレンジしてみてください。
5.インドホシガメを飼ってみよう
インドホシガメは非常に美しく、可愛らしい生き物です。また、野菜や果物を食べることから餌の確保には苦労しないという意味でも飼育しやすいと言えます。
ただし飼育下での平均寿命は約30〜50年と言われており、非常に長生きする生き物です。
最後まで愛情を持ってお世話できるかどうかよく考えてからお迎えしてくださいね。
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