イボイモリというイモリをご存知でしょうか?
主にアジアに生息するイモリで、ゴツゴツとした見た目が美しい両生類です。
繁殖個体がよく流通しており、見かけることも多いと思います。
今回はそんなイボイモリの生態や飼い方について詳しく説明していきます。
目次
イボイモリとは
どんなイモリ?
出所)https://www2.hkr.ne.jp/~rieokun/saramand/imori/ibo/verru.htm
イボイモリは主にアジアに生息する陸生有尾類の一種です。
ずんぐりした体と短くがっしりした四肢、太く短い指、胴体より短い尾を持ちます。
主な生息地としては近くに繁殖に使える水場がある森で、石や倒木の下、木の根の隙間、他の動物の掘った穴などの隠れ家で過ごしています。
大きさや見た目
体長10cm〜20cmになります。尻尾が太く短いので大きく感じると思います。
見た目の特徴としては名前の通り「イボ」のようなゴツゴツとした体になっていることです。
イボイモリの種類
イボイモリにはいくつかの種類があります。一般的に流通するのは2種類です。
アメイロイボイモリ
繁殖個体(CB)がよく流通します。中国南部からヒマラヤにかけて生息するイモリです。名前の通り「飴のような」色をしています。
ミナミイボイモリ
こちらも繁殖個体が流通します。生息域はアメイロイボイモリと類似しており、見た目もよく似ています。
出所)https://www2.hkr.ne.jp/~rieokun/saramand/imori/ibo/minami.htm
他にもマンシャンイボイモリなどもポツポツと流通します。
沖縄に生息するイボイモリ
沖縄にも日本固有種のイボイモリが生息しています。国内希少野生動植物種に指定され、沖縄島、瀬底島、渡嘉敷島に分布していますが、本島南部ではほぼ全滅したとされています。
天然記念物となっており採取や飼育は禁止されています。
2.イボイモリの飼育に必要なもの
飼育ケース
ケースを選ぶ際には以下の3つのポイントに注意しましょう。
・蓋がついていてしっかり閉じられるもの
・通気性の良いもの
・ケース内に水場と陸地をつくるスペースがあるもの
飼育ケースは水槽や虫かごなどを使います。
イボイモリは壁面を登る能力があるので蓋がついていなければ簡単に脱走されてしまいます。
1匹飼いでも底面積と高さに余裕のあるケースを選びましょう。
また、両生類は通気性の悪い環境を嫌います。通気性の良いケージを用意しましょう。
イモリは水辺にいるので湿度が高い方がいいのではないか?と思われるかもしれませんが、適度な湿度にとどめることが重要です。
最後に、基本的には水辺の近くの陸に生息する生き物ですので、水辺と陸地の両方を必要とします。
水辺は全身を浸かることができる大きさ・深さの容器を置いてあげましょう。
床材
飼育ケース内に敷いて使います。
床材には以下のものがよく使われています。
土 | 最も自然に近い環境になります。園芸用の腐葉土は安価で吸水性がいいので湿度を保ちやすかったり、余分な水を吸い取ってくれて便利です。 |
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ソイル | カエル用のソイルが販売されています。活性炭が含まれておりフンなどの臭いを抑えることができます。 |
キッチンペーパー | コストがかからず汚れが目立つので頻繁に変えることができますが、保湿を持続させるのは難しいです。 |
ウールマット | 安価で必要な分だけ切って使えるのでコスパが高いです。硬さによってはすぐに穴を開けられたりケガの原因になってしまいます。 |
水ゴケ | 園芸用品として販売されています。保水力がよく柔らかいのでカエルが脚をケガしにくいです。潜りやすいので冬眠にも向いています。 |
床材として使えるものはさまざまですが、湿度を保てることや素材の柔らかさなどの点から
土を使用するのがおすすめです。
イモリ全般に言えることですが、イボイモリは乾燥に弱いためケース内の湿度には注意が必要です。
保湿するには床材に霧吹きをして水分を保たせます。
土であれば湿りやすいので湿度をより長く保つことができます。
また安価なので交換しやすい点も良いです。
ただ土によっては保湿性が悪くすぐに乾燥してしまうものや農薬などを使用している危険なものもあるので、両生類飼育用に販売されている土を購入することをオススメします。100円ショップなどで販売されている園芸用の土は農薬などによってイボイモリが体調を崩したり死亡してしまうリスクがあります。
水ゴケも、ケースの中に入れておくと湿度を維持しやすいです。乾燥して販売されている水ゴケを購入し、水につけてふやかした形で使用します。
ただ、しばらくすると乾いてしまうので定期的な霧吹きが必要です。また、しばらくすると汚れてくるので定期的に交換しましょう。
イボイモリは汚れに弱いです。定期的な水換えとマメな掃除をすることが健康に保つコツになります。汚れが溜まっていくと皮膚病などになるリスクが高まります。
餌
イボイモリは肉食で自然では昆虫をメインに捕食しています。ただ、飼育するにはこれらの餌を自然から採集する必要があるというわけではありません。むしろ、自然に生息する虫は何を食べているかわからないため生体にリスクとなる可能性があるため避けて方が良いです。餌用の昆虫を購入することをおすすめします。
最近では爬虫類や両生類を飼育する人が増えてきたので、ペットショップに行くとさまざまな餌が販売されています。
手に入れやすい餌は以下のようなものがあります。
コオロギ | メインでよく使われており、SS~Lサイズまで幅広いサイズ展開があります。ストックしておくにはコツがいります。 |
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ミルワーム | 冷蔵保存するので管理がとても楽です。あまり動かないのでエサ皿に入れても逃げずらく与えやすいです。 |
デュビア | 海外のゴキブリです。大きなサイズのものが販売されていることが多いでの購入時に注意してください。管理しやすく簡単に増やすことができます。 |
ワラジムシ | カルシウムが豊富です。他の餌より販売しているところは少ないかもしれません。 |
人工飼料 | 肉食魚用やカエル用の人工飼料を与えます。食べる個体と食べない個体がいるので、食べればラッキーくらいに思っておきましょう。 |
爬虫類や両生類を飼育している人の中で最も定番とされているのがコオロギです。
ペットショップやホームセンターで販売されていて簡単に入手できます。小さいサイズから大きいサイズまで多様なサイズのコオロギを購入することができるのでイボイモリの大きさに合わせた餌を用意することが簡単です。
ただ、コオロギは大量に購入して管理しておくことが難しいです。少し多めに買って家にある余った虫かごに入れておこう!と思うかもしれませんが、それが結構難しいのです。
コオロギは意外にも繊細でストレスに弱いので、ちゃんと管理しなければすぐに死んでしまいます。飲み水がなくなったり、湿度が高すぎたりすると大量死していまいます。ピンセットから食べてくれる個体であれば冷凍コオロギや乾燥コオロギを使用するのも有効です。ただし、個体によって好き嫌いがありますので全ての個体に使える餌ではないことは注意してください。
餌になる虫の管理までする自信がないという方はミルワームがおすすめです。
カップにたくさん入っており冷蔵庫で保存すれば餌を与えなくても管理できるため、管理がとても楽です。ただし、「ジャイアントミルワーム」という名前で販売されている種類はイボイモリには大きすぎるため「ミルワーム」を購入しましょう。
またデュビアも管理が簡単です。小さい個体が販売されていないことがありますのでその点だけ注意ですが、耐久性が高く・様々な餌を食べてくれるので多く買って管理しておく、というのが向いています。
ワラジムシは少し高額で販売している場所も少ないですが、嗜好性が高いのでおすすめの餌です。また管理も難しくありません。オークションでは定期的に販売されているので購入しやすいです。
ただどの餌を与えるにしても、栄養剤を必ず添加するようにしましょう。
栄養剤にはイボイモリの成長に必要なカルシウムやビタミンが含まれています。
餌となる昆虫にまぶして与えましょう。
もしくはガットローディングという手法を活用しましょう。こちらは餌となる昆虫に高栄養の餌を与えることで栄養価値を高める手法です。ガットローディング用に、昆虫用の餌が販売されていますのでそちらを購入して与えるのが良いです。
レイアウトを楽しんでみよう!
出所)https://www.caudata.org/threads/first-salamandra-tank.76832/
飼育に慣れてきて飼育ケースのサイズに余裕があれば、レイアウトを楽しんでみませんか?
具体的には植物や木の枝などを入れてより自然に近づけた環境を作ります。100円ショップで販売されている人工の葉などを入れれば、管理することも容易です。
・植物は丈夫なもの、もしくは人工植物を選ぶ
・木や枝を入れてみる
イボイモリにとっては隠れる場所が増えストレスが減ったり、自然下に近い環境になることで湿度管理がしやすくなり、より飼育しやすくなります。
また枝などを入れると登る姿が見れたり、水場に置けば掴まることもできます。
3.基本的なお世話
イボイモリを飼育する上で気を付けるべきことは以下の 4点のみです。
・餌やりは2~3日に1回
・フンなどの汚れはすぐに取り除く
・霧吹きで湿度を保つ
・夏場はワインセラーなどで低温を保つ
まだ幼い個体であれば毎日か1日おきに与えます。
成体は与えすぎると肥満になってしまうので、2~3日に1回にします。
ピンセットで1匹ずつ与えてもいいですし、ケース内に放って食べさせてもいいです。
その場合食べ残した餌はそのままにせず回収しましょう。
ピンセットで餌を与える場合、最初から食べてくれる可能性は低いです。まず飼育環境に慣らし、人を見ても逃げないようになってからチャレンジしてみましょう。
餌やりの後はフンをしていないかよく観察しましょう。
見つけ次第すぐ取り除きます。
床材はできれば1か月に1回交換しましょう。床材は最低でも定期的な水洗いをすることで、汚れを取り除きましょう。両生類は皮膚が弱いため、汚れが多くなると皮膚病になるリスクが高まります。
また水場の水はできるだけ毎日交換します。
両生類は水分補給を口ではなく皮膚から行います。
そのため水場の水が汚れていれば、イボイモリが弱ってしまいます。
湿度を上げるための霧吹きの目安は1日2回です。
季節によってはすぐに乾いてしまうかもしれないので、様子を見ながら回数を変えます。
そして、最後にイボイモリは高温に弱いです。25℃程度が耐えれる気温の限界でしょうか。日本の夏は彼らにとって暑すぎるので、必ず対策をするようにしてください。
いくつか対応方法はありますが、一番のおすすめはワインセラーを活用した管理です。ワインセラーは18℃などで温度を一定に保ってくれるので、中に入れておけばイボイモリにとって快適な環境を作り出してくれます。
4.イボイモリを購入しよう
販売されている場所
・総合ペットショップ
・ホームセンター
・爬虫類専門店
・爬虫類イベント
総合ペットショップには爬虫類・両生類コーナーがあるところが多く、飼育用品や餌も販売されています。ただ入門種をよく取り扱っていることが多いので、イボイモリが販売されているかどうか事前に聞いておく方がいいかもしれません。
ホームセンターでも近年では爬虫類・両生類を販売しているところが増えています。しかし店員さんが両生類に詳しいかどうか、また飼育用品が充実しているかどうかはお店によるところです。ペットショップと比べると取り扱っている種類は少ないかもしれません。
初心者の方は爬虫類専門店で買うのをおすすめします。飼育に詳しい店員さんがいて飼育用品も揃ってあるので安心して購入できます。
爬虫類イベントではお店よりも安く購入することができます。イベントで購入する場合は、事前に飼育用品を揃えてセットしておくべきです。また混雑している場合は店員さんに話しかけづらいなどの心配点があります。
イボイモリの価格
イボイモリの価格はアメイロイボイモリで1万円〜2万円ほどです。アメイロイボイモリのベビーは1万円程度で購入できることが多いです。
5.イボイモリを飼ってみよう!
イボイモリについて生態や飼い方を紹介しました。
簡単に飼育することができるので、ペットを飼育したことがない方にもおすすめです。
飼育する場合にはイボイモリが安心して過ごせる環境を準備してから
迎えるようにしましょう。
またお世話はそこまで大変ではないので欠かさないようにしてください。
イボイモリに興味を持った方は、是非飼育にチャレンジしてみてください。
イボイモリの寿命は長く、性成熟に4〜5年かかり、記録がある最長の飼育期間は50年と言われています。
飼育するのであれば最後までしっかりお世話してあげましょう。
また下記のページも飼育の参考にしていただければと思います。