皆さんはシリケンイモリという生き物をご存じでしょうか。
シリケンイモリは日本の沖縄などに生息するイモリです。見た目が派手な個体が多く、ペットとして人気があります。
今回はそのシリケンイモリについてどんな生き物なのか、基本的な生態や飼い方について解説していきます。
飼い方を学べば初心者の方でも飼育することができます。
爬虫類の飼育に興味のある方は、是非この記事を参考にシリケンイモリの飼育にチャレンジしてみてください。
目次
1.シリケンイモリとは
出所)https://pz-garden.stardust31.com/hacyuurui/yuubi-moku/imori-ka/siriken-imori.html
分布
日本固有種で、沖縄諸島及び奄美大島などに生息しています。
沖縄には他にもキノボリトカゲのように、他の地域の人からすると珍しい種類がたくさんいますね。
生態
シリケンイモリは、水田や小川、沼地、湿地帯などの水のあるところに生息しています。
山地や森林内では林道の側溝や渓流沿いなどで見られるようです。
湿度が高い場所に生息しているということですね。
野生では昆虫や陸棲の貝類、ミミズなどを食べて生活しています。
大きさ
大きさは約10~14㎝程度です。アカハライモリが10cm程度ですので少しアカハライモリより大きいです。
販売されている個体はまだ小さなベビーから育ったサイズまでさまざまです。
シリケンイモリの種類(オキナワ、アマミ)
シリケンイモリは正確には二種類に別れています。奄美大島などに生息するアマミシリケンイモリと、沖縄諸島に生息するオキナワシリケンイモリです。
・アマミシリケンイモリ:生物学上はこちらが基亜種になるようです。オキナワシリケンイモリと比較して地味な個体が多いですが、綺麗な個体は全身に赤みがあって美しいです。また、心なしかオキナワシリケンイモリより顔つきが可愛らしい気もします。
・オキナワシリケンイモリ:シリケンイモリとして流通する場合、大抵はこちらになります。特徴としては背中に金箔のような模様が入る美しい個体が存在していることです。金箔模様が多ければ多いほど人気になり、高額になります。
飼育方法などに大きな差はないので、以下同様として扱っていきます。
性格
基本的には大人しい性格をしています。また、慣れてくると人を見かけると寄ってきて餌をねだるような光景を見ることもできるようになります。
ただ、ハンドリングはお勧めしません。理由は2つあります。一つ目は両生類は皮膚が弱く、人間の手の温度でさえ火傷をする可能性があるからです。両生類全般に言えることですが、素手で触ることは推奨されていません。
次に、イモリの皮膚には毒があると言われております。人を殺すような毒ではないようですが、不用意に触ることはリスクがあります。
そして生き物なのでそれぞれに性格があることを理解した上で飼いましょう。
2.シリケンイモリを購入しよう
販売されている場所
・総合ペットショップ
・ホームセンター
・爬虫類専門店
・爬虫類イベント
総合ペットショップには爬虫類・両生類コーナーがあるところが多く、飼育用品や餌も販売されています。ただ海外種をよく取り扱っていることが多いので、シリケンイモリが販売されているかどうか事前に聞いておく方がいいかもしれません。
ホームセンターでも近年では爬虫類・両生類を販売しているところが増えています。しかし店員さんがイモリに詳しいかどうか、また飼育用品が充実しているかどうかはお店によるところです。ペットショップと比べると取り扱っている種類は少ないかもしれません。
初心者の方は爬虫類専門店で買うのをおすすめします。飼育に詳しい店員さんがいて飼育用品も揃ってあるので安心して購入できます。ただ、国産種を取り扱う店舗は限定されるので事前に確認した方が良いです。
爬虫類イベントには多種多様な店舗が出店されているのでシリケンイモリを販売している店を見つけることができる可能性は高いです。ただ、イベントで購入する場合は、事前に飼育用品を揃えてセットしておくべきです。また混雑している場合は店員さんに話しかけづらいなどの心配点があります。
シリケンイモリの値段
シリケンイモリの価格は1,000円~となっています。
中には1万円を超えるような個体もいます。
高額な生体は、金箔模様が多く「ハイグレード」などといった表現で販売されていることが多いです。ただ、一匹一匹見た目が異なるのがシリケンイモリの特徴です。予算と見た目を踏まえてぜひお気に入りの一匹を探してみてください。
3.シリケンイモリの飼育に必要なもの
出所)https://viva-c.net/posts/18
ここからはシリケンイモリの飼育に必要なアイテムを紹介していきます。
できれば生体を迎える前に揃えてセットしておくと、お迎え当日スムーズに家に連れて帰ることができます。
以下のものが飼育に必要になります。
・ケージ
・水入れ
・床材
・パネルヒーター
ケージ
ケージを選ぶ際には以下の3つのポイントに注意しましょう。
・蓋がついていてしっかり閉じられるもの
・通気性の良いもの
・ケース内に水場と陸地をつくるスペースがあるもの
飼育ケースは水槽や虫かごなどを使います。
シリケンイモリは壁面に張り付いて登ることができるので蓋がついていなければ簡単に脱走されてしまいます。
イモリが脱走すると、干からびて死んでしまう確率が高いです。脱走しないように注意しましょう。
1匹飼いでも底面積と高さに余裕のあるケースを選びましょう。また、イモリは通気性の悪い環境を嫌います。通気性の良いケージを用意しましょう。
イモリは水辺にいるので湿度が高い方がいいのではないか?と思われるかもしれませんが、適度な湿度にとどめることが重要です。
最後に、水田などに生息するイモリですので、水辺と陸地の両方があると良いです。
水辺は全身を浸かることができる大きさ・深さの容器を置いてあげましょう。
床材
飼育ケース内に敷いて使います。
床材には以下のものがよく使われています。
土 | 最も自然に近い環境になります。園芸用の腐葉土は安価で吸水性がいいので湿度を保ちやすかったり、余分な水を吸い取ってくれて便利です。 |
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ソイル | 両生類用のソイルが販売されています。活性炭が含まれておりフンなどの臭いを抑えることができます。 |
キッチンペーパー | コストがかからず汚れが目立つので頻繁に変えることができますが、保湿を持続させるのは難しいです。 |
ウールマット | 安価で必要な分だけ切って使えるのでコスパが高いです。硬さによってはすぐに穴を開けられたりケガの原因になってしまいます。 |
水ゴケ | 園芸用品として販売されています。潜りやすいので冬眠にも向いています。 |
床材として使えるものはさまざまですが、湿度を保てることや素材の柔らかさなどの点から
土を使用するのがおすすめです。
シリケンイモリは乾燥に弱いためケース内の湿度には注意が必要です。
保湿するには床材に霧吹きをして水分を保たせます。
土であれば湿りやすいので湿度をより長く保つことができます。
ただ土によっては保湿性が悪くすぐに乾燥してしまうものや農薬などを使用している危険なものもあるので、両生類飼育用に販売されている土を購入することをオススメします。100円ショップなどで安価に販売されている園芸用の土は農薬などによってイモリが体調を崩したり死亡してしまうリスクがあります。
水ゴケも、ケースの中に入れておくと湿度を維持しやすいです。乾燥して販売されている水ゴケを購入し、水につけてふやかした形で使用します。
ただ、しばらくすると乾いてしまうので定期的な霧吹きが必要です。また、しばらくすると汚れてくるので定期的に交換しましょう。
パネルヒーター
沖縄などに生息するイモリですので、冬場は温まっている方が安全です。パネルヒーターをケースの半分ほどに覆って、好きな温度の場所に移動できるようにしてあげましょう。
レイアウトを楽しんでみよう!
飼育に慣れてきて飼育ケースのサイズに余裕があれば、レイアウトを楽しんでみませんか?
具体的には植物や木の枝などを入れてより自然に近づけた環境を作ります。100円ショップで販売されている人工の葉などを入れれば、管理することも容易です。
・植物は丈夫なもの、もしくは人工植物を選ぶ
・木や枝を入れてみる
シリケンイモリにとっては隠れる場所が増えストレスが減ったり、自然下に近い環境になることで湿度管理がしやすくなり、より飼育しやすくなります。
4.シリケンイモリの飼育方法
出所)https://tansui-photo.com/sirikennimori-siiku-houhou/
餌
シリケンイモリは肉食で自然では昆虫をメインに、ミミズや貝などを捕食しています。ただ、飼育するにはこれらの餌を採集する必要があるというわけではありません。むしろ、自然に生息する虫は何を食べているかわからないため生体にリスクとなる可能性があるため避けて方が良いです。餌用の昆虫を購入することをおすすめします。
最近では爬虫類や両生類を飼育する人が増えてきたので、ペットショップに行くとさまざまな餌が販売されています。
手に入れやすい餌は以下のようなものがあります。
コオロギ | メインでよく使われており、SS~Lサイズまで幅広いサイズ展開があります。ストックしておくにはコツがいります。 |
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ミルワーム | 冷蔵保存するので管理がとても楽です。あまり動かないのでエサ皿に入れても逃げずらく与えやすいです。 |
デュビア | 海外のゴキブリです。大きなサイズのものが販売されていることが多いでの購入時に注意してください。管理しやすく簡単に増やすことができます。 |
ワラジムシ | カルシウムが豊富です。他の餌より販売しているところは少ないかもしれません。 |
人工飼料 | 肉食魚用やカエル用の人工飼料を与えます。食べる個体と食べない個体がいるので、食べればラッキーくらいに思っておきましょう。 |
爬虫類や両生類を飼育している人の中で最も定番とされているのがコオロギです。
ペットショップやホームセンターで販売されていて簡単に入手できます。小さいサイズから大きいサイズまで多様なサイズのコオロギを購入することができるのでヌマガエルの大きさに合わせた餌を用意することが簡単です。
ただ、コオロギは大量に購入して管理しておくことが難しいです。少し多めに買って家にある余った虫かごに入れておこう!と思うかもしれませんが、それが結構難しいのです。
コオロギは意外にも繊細でストレスに弱いので、ちゃんと管理しなければすぐに死んでしまいます。飲み水がなくなったり、湿度が高すぎたりすると大量死していまいます。ピンセットから食べてくれる個体であれば冷凍コオロギや乾燥コオロギを使用するのも有効です。ただし、個体によって好き嫌いがありますので全ての個体に使える餌ではないことは注意してください。
餌になる虫の管理までする自信がないという方はミルワームがおすすめです。
カップにたくさん入っており冷蔵庫で保存すれば餌を与えなくても管理できるため、管理がとても楽です。ただし、「ジャイアントミルワーム」という名前で販売されている種類はシリケンイモリには大きすぎるため「ミルワーム」を購入しましょう。
またデュビアも管理が簡単です。小さい個体が販売されていないことがありますのでその点だけ注意ですが、耐久性が高く・様々な餌を食べてくれるので多く買って管理しておく、というのが向いています。
ワラジムシは少し高額で販売している場所も少ないですが、嗜好性が高いのでおすすめの餌です。また管理も難しくありません。オークションでは定期的に販売されているので購入しやすいです。
最後に人工飼料ですが、イモリ専用の餌が販売されています。特に水でふやかして与えると食べてくれることが多いです。生き餌を用意するのは面倒、という方は人工飼料をメインに与えることも可能です。ただ個体によって食べる食べないがあったり、食べるようになるまで時間がかかることもあります。
人工飼料の慣らし方には生きたコオロギをピンセットで与え、ピンセットで餌を与えることに慣らしていき、最終的に人工飼料をピンセットで与える方法もあります。他にもコオロギの体液を人工飼料に付けて、匂いをつける方法などもあります。いろいろ試行錯誤すると良いでしょう。
ただどの餌を与えるにしても、栄養剤を必ず添加するようにしましょう。
栄養剤にはシリケンイモリの成長に必要なカルシウムやビタミンが含まれています。
餌となる昆虫にまぶして与えましょう。
もしくはガットローディングという手法を活用しましょう。こちらは餌となる昆虫に高栄養の餌を与えることで栄養価値を高める手法です。ガットローディング用に、昆虫用の餌が販売されていますのでそちらを購入して与えるのが良いです。
温度と湿度
シリケンヤモリの適温は約15~27℃です。
寒いと食欲が落ちて病気の原因にもなります。
また暖かい島にいた生き物だから暑さには強いのだろうと考えてはいけません。
日本の真夏の室内は暑すぎるため体調を崩す可能性があります。
ケージ内には温度計を入れて適温を保てているか毎日チェックしましょう。
また乾燥しすぎると脱水を起こしてしまいます。
毎日霧吹きで床材やケージ内を湿らせるなど、よく気を付けてあげましょう。ハンドリング
繁殖
シリケンイモリの飼育に慣れてきたら、繁殖にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
繁殖期は、1月下旬~7月頃ですが、浅い水たまりに産卵するようです。なので水場を用意し、産卵床となる水草を設置してあげましょう。
オスとメスの相性がよければ産卵してくれます。その後約2か月ほどで孵化します。
ベビーが食べられるような小さなコオロギなどを用意しておきましょう。
繁殖をさせる場合には生まれたベビーを飼育するのか、またどこかに譲るのかを決めておくなど計画的に行いましょう。
5.シリケンイモリを飼ってみよう
シリケンイモリについて生態や飼い方を紹介しました。
簡単に飼育することができるので、ペットを飼育したことがない方にもおすすめです。
飼育する場合にはシリケンイモリが安心して過ごせる環境を準備してから
迎えるようにしましょう。
またお世話はそこまで大変ではないので欠かさないようにしてください。
シリケンイモリに興味を持った方は、是非飼育にチャレンジしてみてください。
そしてせっかくの国内種ですので、野生のシリケンイモリが今どんな暮らしをしているのか、自然に目を向けてみてください。
シリケンイモリの寿命は20年~と言われており、とても長生きする生き物です。
飼育するのであれば最後までしっかりお世話してあげましょう。
また下記のページも飼育の参考にしていただければと思います。