皆さんはヒルヤモリというヤモリをご存じでしょうか。
名前の通り、昼に活動するヤモリなのですが、緑をベースとした鮮やかな色彩の体色を持っており、綺麗なヤモリとして人気が高いです。
今回はそのヒルヤモリについてどんな生き物なのか、基本的な生態や飼い方について解説していきます。
飼い方を学べば初心者の方でも飼育することができます。
爬虫類の飼育に興味のある方は、是非この記事を参考に飼育にチャレンジしてみてください。
目次
1.ヒルヤモリとは
出所)https://www.anigaido.com/animaux/reptiles/gecko-geant-de-madagascar
分布
多くのヒルヤモリはマダガスカルに生息しています。
アフリカ大陸の南東にある、日本の国土面積の約1.6倍の広さを持つ島です。
マダガスカルにはヒルヤモリ以外にもさまざまな固有種が生息しており、パンサーカメレオンやへラオヤモリ、ソメワケササクレヤモリなどが爬虫類では有名な種類でしょうか。
生態
ヒルヤモリは森林や竹林、果樹園、岩場などに生息しています。多くの種は昼行性で、昼間に積極的に行動するという特徴があります。通常のヤモリは夜行性なので、不思議ですね。
食性は動物食傾向の強い雑食で、昆虫、小型爬虫類、果実、花の蜜などを食べます。
大きさ
全長30cmに達する種類もいますが、多くのヒルヤモリの大きさは約15㎝で、小型のヤモリとなります。小型なため、小スペースで飼育できる点も魅力の一つです。
販売されている個体はまだ小さなベビーの繁殖個体(CB)からアダルトサイズの野生個(WC)までさまざまです。野生個体に関してもマダガスカルから定期的に輸入されてきますが繁殖個体の販売も豊富であることが特徴です。
主なヒルヤモリの種類
多くの種類がいるヒルヤモリですが、主に流通するのは三種類です。その三種を紹介します。
グランディスヒルヤモリ(オオヒルヤモリ)
名前の通り、大きくなるヒルヤモリで、最大30cmと言われています。(そこまで大きな個体は見たことはないですが・・・)
赤い模様が入る美しい個体が多く、赤が強い個体は「クリムゾン」や「フレイム」と名前がついて販売されることがあります。ヒルヤモリの中でも繁殖も盛んでよく流通する種類です。
出所)https://www.deviantart.com/nakkimo/art/Phelsuma-Madagascariensis-298888633
ヨツメヒルヤモリ
前足の付け根付近に大きな目のような模様があります。そこから「四つ目」と名前がついています。
比較的小型なヒルヤモリです。また繁殖個体も流通しますが野生捕獲個体もよく流通しています。
出所)https://www.lafermetropicale.com/geckos/3004-phelsuma-quadriocellata-phequa.html
スタンディングヒルヤモリ
頭はグリーン、尾はブルーの派手なヤモリです。ヒルヤモリの中では比較的大型になるヤモリで、最大30cmを超えると言われています。乾燥した草原に生息しており、比較的どのような環境でも問題なく飼えることから飼育しやすいと言われているヤモリです。
この種類もCB化が盛んでCB個体がよく流通します。
出所)https://www.lickyoureyeballs.com/care/10-2020
他にも色々な種類のヒルヤモリはいますが、あまり流通しないので割愛させていただきました。なお、種類によって価格は異なりますが、基本的に価格は珍しいほど高くなるものであり、綺麗であるから高い、というわけではありません。綺麗ですが安価な種類もありますので色々実際に見てみると良いと思います。
性格
ヒルヤモリは動きが素早いのであまりハンドリングに向いている爬虫類ではありません。
定期的にハンドリングを繰り返すことで慣らすことは可能です。ただ爬虫類は人に触られて喜ぶ生き物ではありません。あくまで観賞用として考えることが良いでしょう。
また、中には神経質でずっと隠れっぱなし、という個体もいるかもしれません。
生き物なのでそれぞれに性格があることを理解した上で飼いましょう。
2.ヒルヤモリを購入しよう
販売されている場所
・総合ペットショップ
・ホームセンター
・爬虫類専門店
・爬虫類イベント
総合ペットショップには爬虫類コーナーがあるところが多く、飼育用品や餌も販売されています。ただ入門種をよく取り扱っていることが多いので、ヒルヤモリが販売されているかどうか事前に聞いておく方がいいかもしれません。
ホームセンターでも近年では爬虫類を販売しているところが増えています。しかし店員さんが爬虫類に詳しいかどうか、また飼育用品が充実しているかどうかはお店によるところです。ペットショップと比べると取り扱っている種類は少ないかもしれません。
初心者の方は爬虫類専門店で買うのをおすすめします。飼育に詳しい店員さんがいて飼育用品も揃ってあるので安心して購入できます。
また、専門店であれば様々な種類のヒルヤモリを取り扱っていることが多く、その中からお気に入りの一匹を見つけることができます。主な流通個体は3種類ですが、他にも時々入荷していることがあり、多様なヒルヤモリが存在するため、色々な生体を見た上で気に入った個体を購入するのが良いです。
爬虫類イベントではお店よりも安く爬虫類を購入することができます。イベントで購入する場合は、事前に飼育用品を揃えてセットしておくべきです。また混雑している場合は店員さんに話しかけづらいなどの心配点があります。
ヒルヤモリの値段
ヒルヤモリの価格は1万円~5万円程度になっています。
野生個体であれば数千円で販売されている場合もあります。
野生個体の方が値段は安いですが神経質であったり、輸送の疲れで体調を崩していたりするリスクがあります。初心者の方は繁殖個体(CB)を購入することをオススメします。
3.ヒルヤモリの飼育に必要なもの
出所)https://reptilesmagazine.com/caring-for-giant-day-geckos/
ここからはヒルヤモリの飼育に必要なアイテムを紹介していきます。
できれば生体を迎える前に揃えてセットしておくと、お迎え当日スムーズに家に連れて帰ることができます。
以下のものが飼育に必要になります。
・ケージ
・枝などの登るところ
・水入れ
・床材
・紫外線ライト、パネルヒーター
ケージ
ソメワケササクレヤモリは地表性ヤモリなので、表面積の広いケージを選びましょう。
ただ、小型のヤモリですので小さいケージで飼育することも可能です。幅30㎝あるケージであれば十分飼育できます。
ケージは必ずフタがついていてしっかり閉めることができるものにしましょう。
少しの隙間があれば簡単に脱走されてしまいます。
枝などの登るところ
枝や流木などを入れてヒルヤモリが登れる場所を作りましょう。
爬虫類用品としてワイヤーが入っていて自由に曲げることができるこちらの商品もおすすめです。
観葉植物などを入れてもいいでしょう。
掴まる場所がなければずっとケージの壁面に張り付いていなくてはなりません。
頭を下向きにして長時間張り付いていれば、尻尾や背中が曲がる原因になってしまいます。
またヒルヤモリが平らな場所で休める場所をケージの上部辺りに作ってあげると落ち着いて休むことができます。
水入れ
ヒルヤモリに水を飲んでもらうためにもケージ内に水入れを設置しましょう。水入れから水を飲んでいる姿が見られなければ、ケージの内側に霧吹きしてあげましょう。
垂れてくるしずくをペロペロと舐めてくれると思います。
床材
湿度を保ちやすい素材のものがいいです。
床材には以下のようなものがよく使われています。
ヤシガラ | 保湿性が高く見た目もいいです。燃えるごみとして出せるのもメリットです。 |
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爬虫類用ソイル | 保湿性が高く、バクテリアが繁殖してフンなどを分解してくれます。生体が良く湿ったソイルを踏んだあとケージ内が汚れてしまうことがあります。 |
ミズゴケ | 保水力や弾力性があります。前面に敷く場合は濡らしすぎなどに注意しましょう。 |
バークチップ | 園芸用で安く販売されており湿度や温度を保ってくれます。見た目も美しいです。 |
キッチンペーパーやペットシーツなどの紙類 | 見栄えを気にしなければコストがかからず汚れたら頻繁に交換でき、床材として使えます。保湿性が低く、成体の誤飲の危険もあるのでよく観察しましょう。 |
ヤシガラはヒルヤモリにとって重要な湿度を保つことができ、見た目も自然な雰囲気で特におすすめです。
爬虫類用品として販売されているものは生体の安全を考えて作られています。
紫外線ライト、パネルヒーター
ソメワケササクレヤモリの適温は約25~27℃です。
無加温で1年間過ごすことは難しいでしょう。
部屋全体をクーラーやヒーターで管理するのが最も望ましいですが、なかなかそれは難しいので寒い時期はパネルヒーターをケージの一部に設置しましょう。
パネルヒーターは通常ケージの下に敷いて使うことが多いですが、ケージ全体をパネルヒーターで覆ってしまうと温度差がなく、熱い時に逃げ場がなくなるので一部だけを温めるようにしましょう。
夏場は締め切った部屋だと室温が30℃を超える場合があり危険です。
クーラーで温度管理するのが1番です。
また、ヒルヤモリは昼間に行動する生き物ですので、トカゲと同じように紫外線ライトを用意しましょう。それほど強い紫外線は望まないとされていますので森林タイプの紫外線ライトで問題ないと思います。
4.ヒルヤモリの飼育方法
餌、サプリメント
ヒルヤモリには
・デュビア
・人工飼料
などを与えます。
どれもペットショップなどで手に入ります。小型のヤモリですので、小さめのコオロギなどを与えてあげましょう。
人工飼料はクレステッドゲッコー用として販売されているものが利用できます。ただ、個体により好き嫌いがあるので様子を見ながらあげるようにしましょう。
また昆虫や人工飼料だけでは不足しがちなカルシウムやビタミンはサプリメントで補いましょう。
爬虫類用のサプリメントを昆虫にまぶしたり、人工飼料につけて与えるだけです。
特にベビーの時期は毎日添加してあげてください。
餌やりは幼体の場合は毎日食べるだけ、成長したら頻度を減らして2~3日に1回与えます。
温度と湿度
ヒルヤモリの適温は約25~27℃です。
寒いと食欲が落ちて病気の原因にもなります。
また暖かい島にいた生き物だから暑さには強いのだろうと考えてはいけません。
日本の真夏はヒルヤモリにとっては暑すぎます。
ケージ内には温度計を入れて適温を保てているか毎日チェックしましょう。
また乾燥しすぎると脱皮不全や脱水を起こしてしまいます。
毎日霧吹きで床材やケージ内を湿らせるなど、よく気を付けてあげましょう。
ハンドリング
上述のように、ヒルヤモリは小型のヤモリで臆病な面もあり、あまりハンドリングに向いているとはいえない種類です。
ハンドリングを繰り返すことで慣れてくる可能性もありますが、ストレスを抱える可能性が高いのでできれば鑑賞をメインとするヤモリと考えた方が良いでしょう。
繁殖
ヒルヤモリの飼育に慣れてきたら、繁殖にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
生後1〜2年ほどで性成熟するので繁殖が可能になります。
オスとメスの相性がよければ産卵してくれます。また、1回の産卵で二個の卵を、複数回にわたって産卵するのですが、産卵する度にメスは体力を奪われるので栄養価の高い餌とカルシウムを与えるようにしましょう。卵は産卵後2ヶ月程度で孵化します。
ベビーが食べられるような小さなコオロギなどを用意しておきましょう。
繁殖をさせる場合には生まれたベビーを飼育するのか、またどこかに譲るのかを決めておくなど計画的に行いましょう。
5.ヒルヤモリを飼ってみよう
出所)https://reptilesmagazine.com/caring-for-giant-day-geckos/
ヤモリは夜行性で陰気なイメージがありますが、ヒルヤモリは昼行性でカラーも派手、という点が特色のヤモリです。また飼育難易度がそれほど高くないというのも良い点ですね。
平均寿命は約10〜20年と言われており、小さな体ですが長生きする生き物です。
最後まで愛情を持ってお世話できるかどうかよく考えてからお迎えしてくださいね。
是非この記事を参考にヒルヤモリの飼育にチャレンジしてみてください!
よければ以下の記事もご覧ください。