皆さんはミミズトカゲという生き物をご存じでしょうか。
その名の通り、ミミズのような見た目をしているトカゲです。蛇に似ているとも言えますが、トカゲになります。面白い生き物ですね。
今回はそのミミズトカゲについてどんな生き物なのか、基本的な生態や飼い方について解説していきます。
飼い方を学べば初心者の方でも飼育することができます。
爬虫類の飼育に興味のある方は、是非この記事を参考にミミズトカゲの飼育にチャレンジしてみてください。
目次
1.ミミズトカゲとは
出所)http://raku-ten.my.coocan.jp/new52.html
分布
ミミズトカゲは世界中にいます。具体的にはアフリカ大陸・南米大陸のほか、西アジア、イベリア半島、中米、西インド諸島、フロリダ半島、カリフォルニア半島、メキシコ中部に分布します。
代表的なミミズトカゲの種類を紹介します。
①アホロテトカゲ
引用)https://www.sauria.info/pb/lizards/detail.php?id=2929787825
最も有名なミミズトカゲです。メキシコに生息しているのですが、特徴はミミズトカゲの中で唯一足があることです。といっても前足しかないのですが。足の指が何本あるかで種類が違っており、「ミツユビ」「ヨツユビ」「イツユビ」がいます。
②ダンダラミミズトカゲ
引用)http://www.enzou.net/PLwormlizard.html
牛のような白黒の見た目が美しい?ミミズトカゲです。中南米に広く生息しています。
③シロハラミミズトカゲ
出所)https://remix-net.co.jp/?p=388288
シロハラミミズトカゲも中南米に生息するミミズトカゲですが大きくなることで有名です。最大全長は70cmとも言われています。
④コモチミミズトカゲ
アフリカに生息するミミズトカゲです。特徴はミミズトカゲの中で唯一の卵胎生で、子供を直接産みます。
生態
ミミズトカゲは夜行性です。ただ、日中も夜も基本的には土の中で生活します。頭部を使ってトンネルを掘り進めることで移動するようです。
野生では地中に生息する節足動物やミミズを食べて生活しています。飼育下においてはコオロギや人工飼料を与えることが可能です。
いかんせん普段ずっと土の中で生活している種類ですので生態もよくわかっていないことが多いです。ただ、飼育しづらいということはなく、基本的には土の中に入れておけば問題ない種類でもあります。
大きさ
大きさは種類によって異なります。コモチミミズトカゲが約20cm、シロハラミミズトカゲが~70㎝といったようにばらつきはありますが、基本的には小さい種類が多いです。
販売されている個体は野生採取個体がメインですのでアダルト個体が多いです。
ミミズトカゲとヘビの違い
遺伝子的な分類でもヘビとミミズトカゲは異なるようですが、外見状も大きな違いがあります。一つ目はミミズトカゲは瞼を閉じることができることに対して蛇はできないという点です。瞼を閉じることができる蛇はいないのでその点で違いますね。
次に蛇の舌は二又に別れていますが、ミミズトカゲの蛇は分かれていません。
後、触ってみると感触が全然違うので分かります。感覚的な問題ですが(笑)
性格
ミミズトカゲは基本的には大人しい性格をしているので、爬虫類の飼育初心者の方にもおすすめしやすいトカゲです。
動きもゆっくりしているのでハンドリングも可能です。
ただ爬虫類は人に触られて喜ぶ生き物ではありません。特にミミズトカゲは地中にいるのでハンドリングとなると掘り起こす必要があり、個体のストレスになる可能性が高いです。
定期的な体調チェックなどでの確認に止め、基本的にはハンドリングせずに飼育する方が良いかと思います。
2.ミミズトカゲを購入しよう
販売されている場所
・総合ペットショップ
・ホームセンター
・爬虫類専門店
・爬虫類イベント
総合ペットショップには爬虫類コーナーがあるところが多く、飼育用品や餌も販売されています。ただ入門種をよく取り扱っていることが多いので、ミミズトカゲが販売されているかどうか事前に聞いておく方がいいかもしれません。
ホームセンターでも近年では爬虫類を販売しているところが増えています。しかし店員さんが爬虫類に詳しいかどうか、また飼育用品が充実しているかどうかはお店によるところです。ペットショップと比べると取り扱っている種類は少ないかもしれません。
初心者の方は爬虫類専門店で買うのをおすすめします。飼育に詳しい店員さんがいて飼育用品も揃ってあるので安心して購入できます。
ミミズトカゲは非常にマイナーな種類のため、専門店に稀に入荷する種類が多いです。定期的に確認するのが良いと思います。
爬虫類イベントではお店よりも安く爬虫類を購入することができます。イベントで購入する場合は、事前に飼育用品を揃えてセットしておくべきです。また混雑している場合は店員さんに話しかけづらいなどの心配点があります。
ミミズトカゲの値段
ミミズトカゲの価格は最も安いコモチミミズトカゲで数万円となっています。アホロテトカゲなど高額な種類では30万円~となっています。
ほぼ全てが野生採取個体です。土の中にいるため採取が難しいことから高額になる傾向があります。
3.ミミズトカゲの飼育に必要なもの
出所)http://sirotanmura.web.fc2.com/gallery/Trogonophis_wiegmanni.html
ここからはミミズトカゲの飼育に必要なアイテムを紹介していきます。
できれば生体を迎える前に揃えてセットしておくと、お迎え当日スムーズに家に連れて帰ることができます。
以下のものが飼育に必要になります。
・ケージ
・水入れ
・床材
・パネルヒーター
ケージ
ミミズトカゲは地中を移動するトカゲですので幅と深さのあるケージを選びましょう。
前開きの爬虫類ケージだと土を深く敷き詰めることが困難なため、大型の昆虫ケージや、熱帯魚用の水槽が良いです。
ケージは必ずフタがついていてしっかり閉めることができるものにしましょう。
少しの隙間があれば簡単に脱走されてしまいます。
水入れ
ミミズトカゲに水を飲んでもらうためにもケージ内に水入れを設置しましょう。
水入れから水を飲んでいる姿が見られなければ、ケージの内側に霧吹きしてあげましょう。
土が湿る程度の水分があればおそらくそこから水を吸収していると思います。
比較的水分要求量は多いイメージです。水入れをきちんと置いて、毎日霧吹きをしてあげるくらいがちょうど良いかと思います。
ただし、土を水分でべちゃべちゃにするのは良くないです。少し湿っているくらいで十分です。
床材
湿度を保ちやすい素材のものがいいです。
床材には以下のようなものがよく使われています。
ヤシガラ | 保湿性が高く見た目もいいです。燃えるごみとして出せるのもメリットです。 |
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爬虫類用ソイル | 保湿性が高く、バクテリアが繁殖してフンなどを分解してくれます。生体が良く湿ったソイルを踏んだあとケージ内が汚れてしまうことがあります。 |
ミズゴケ | 保水力や弾力性があります。前面に敷く場合は濡らしすぎなどに注意しましょう。 |
バークチップ | 園芸用で安く販売されており湿度や温度を保ってくれます。見た目も美しいです。 |
キッチンペーパーやペットシーツなどの紙類 | 見栄えを気にしなければコストがかからず汚れたら頻繁に交換でき、床材として使えます。保湿性が低く、成体の誤飲の危険もあるのでよく観察しましょう。 |
土の中に潜って生活している種類ですので、爬虫類用のソイルが一番適しています。他の床材では飼育できない、というわけではないと思いますがなるべく自然環境に近い状態にしてあげましょう。
パネルヒーター
アフリカや中南米という温暖な環境で生活しています。無加温で1年間過ごすことは難しいでしょう。
部屋全体をクーラーやヒーターで管理するのが最も望ましいですが、なかなかそれは難しいので寒い時期はパネルヒーターをケージの一部に設置しましょう。
パネルヒーターを設置するときは全てを覆わず、一面だけ設置してください。
寒ければその場所に近づき暑くなれば離れられるようにするためです。
夏場は締め切った部屋だと室温が30℃を超える場合があり危険です。
クーラーで温度管理するのが1番です。
ミミズトカゲは頑丈で少し寒い・暑いくらいではびくともしないですがやはり餌喰いが落ちるといった弊害が出てきます。出来るだけ快適な温度をキープしてあげましょう。
4.ミミズトカゲの飼育方法
出所)https://peponi.exblog.jp/7867025/
餌、サプリメント
ミミズトカゲには
・デュビア
・人工飼料
などを与えます。
どれもペットショップなどで手に入ります。
初めは生き餌をメインに与え、少しずつ人工飼料を与えて慣れさせていきます。
生き餌を与える場合でもすり潰して与える、殺してから与えるという形が良いです。
また、人工飼料はストックが楽で栄養バランスを考えられて作られているのがメリットです。そして地表に置いておくだけで食べてくれるのも良い点です。
ただ、昆虫も好きなようでコオロギをたまにあげると喜んで食べてくれます。定期的に様々な餌を与えると良いでしょう。
また昆虫や人工飼料だけでは不足しがちなカルシウムやビタミンはサプリメントで補いましょう。
爬虫類用のサプリメントを昆虫にまぶしたり、人工飼料につけて与えるだけです。
特にベビーの時期は毎日添加してあげてください。
餌やりは幼体の場合は毎日食べるだけ、成長したら頻度を減らして2~3日に1回与えます。
温度と湿度
ミミズトカゲの適温は約25~30℃です。
寒いと食欲が落ちて病気の原因にもなります。
また暖かい所にいた生き物だから暑さには強いのだろうと考えてはいけません。
日本の真夏はミミズトカゲにとっては暑すぎます。
ケージ内には温度計を入れて適温を保てているか毎日チェックしましょう。
また乾燥しすぎると脱皮不全や脱水を起こしてしまいます。
毎日霧吹きで床材やケージ内を湿らせるなど、よく気を付けてあげましょう。
ハンドリング
ミミズトカゲは大人しい性格のため、慣らせばハンドリングは容易にできます。
日頃ハンドリングに慣れておけばケージ内の掃除や体調の確認など、ストレスを与えることなく触れることができるので是非練習しておきましょう。
ハンドリングする際には生体を驚かせないよう優しく掴み、落ちないように手に乗せてください。
もし手の上から移動するようであれば無理に止めず落ちないよう自分も動きに合わせましょう。
ハンドリングは長時間を避け、生体の様子をよく見ながら行いましょう。また、地中に生活しているトカゲなので頻繁に土から掘り起こすのはストレスになります。あくまで定期的なハンドリングにとどめましょう。
繁殖
ミミズトカゲは昔から飼育者がいる種類ですが、繁殖については全く話を聞きません。そもそも地中で生活していることから交尾行動が確認できない、などという問題点もありますし、何が繁殖のトリガーになるのかもよくわかっていないようです。
とりあえずオスとメスで揃えるのは必須になりますが、繁殖を狙う場合は色々試行錯誤してみてください。無事繁殖できれば日本初!になるかもしれません。。
5.ミミズトカゲを飼ってみよう
出所)https://allabout.co.jp/gm/gc/70471/
爬虫類の飼育というと、大きなケージでいろいろなライトをつけて…というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、ミミズトカゲはライトなど大きな設備は必要なく簡単に飼育を始めることができます。また、飼育自体もそれほど難しくはないトカゲです。
土の中で普段過ごしているのであまり見かけることがないですが、餌を食べる瞬間を見ることができると思った以上に可愛いトカゲです。また、他の爬虫類とは違う独特さを感じることができ、爬虫類の奥深さも感じることができます。
是非この記事を参考にミミズトカゲの飼育にチャレンジしてみてください!
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