「カメレオン」といえば爬虫類の中でも最も有名な種類の一つだと思います。特徴的な見た目、色が変化すること、長い舌で捕食することなど・・皆様ご存知だと思います。
カメレオンには数多の種類がありますが、その中でも最も国内でメジャーなカメレオンの一つが「パンサーカメレオン」です。様々なカラーの個体がおり、野生下で採取された生体ではなく繁殖された生体も多く出回る種類になります。繁殖された生体が出回る=飼育がそれほど難しくなく、繁殖させやすいということですので比較的飼育しやすいカメレオンになります。少し癖があるのがカメレオン飼育ですが飼い方を学べば初心者の方でも飼育することができます。
爬虫類の飼育に興味のある方は、是非この記事を参考にパンサーカメレオンの飼育にチャレンジしてみてください。
目次
1.パンサーカメレオンとは(生息地、生態、寿命など)
出所)https://www.madcham.de/en/lokalform-ambanja/
パンサーカメレオンはカメレオン科に属する一種です。
「パンサー」と略して呼ばれることもあります。カメレオンが販売されているショップでは
ほぼ間違いなくパンサーカメレオンが販売されている、というくらいカメレオンの中では人気な種類です。
分布
カメレオンが多く存在するマダガスカルに分布しています。
マダガスカルはアフリカ大陸の南東沿岸部に存在する大きな島です。
マダガスカルは暑い雨季(11月から4月)と比較的涼しい乾季(5月から10月)に分かれます。気温は場所によりますが平均最高気温が雨季で20℃後半、平均最低気温が乾季で10℃後半というところでしょうか。
また、マダガスカルは珍しい生き物の宝庫であり、爬虫類も「マダガスカル便」として定期的に野生個体が輸入されます。カメレオン以外ですと、ヒルヤモリやオオバクチヤモリ、へラオヤモリなど変わったヤモリが多く輸入されてきているでしょうか。
生態
パンサーカメレオンは、数多くの地域個体群が存在しています。一般的には「ロカリティ」という表現をされるのですが、産地によってカラーリングなどに違いがあるため分けて呼ばれております。いくつか代表的な産地を紹介します。
・ノシべ:マダガスカル本島の北西部に位置する島の個体群です。「ノシべブルー」と呼ばれる青い個体が有名で、体色は大きく変化しないのが特徴です。
・アンビローブ:マダガスカル本島北部の個体群で、基本色は緑色のものが多いですが、赤が大半を占める個体まで幅広く存在しています。また、興奮時に黄色くなったり、頭部が真っ赤になったりと劇的な色の変化を見せる個体が多いです。
・アンバンジャ:マダガスカル北西部の個体群で、基本色は水色や青がかかった緑です。最もポピュラーな産地群で、赤・青・黄など他地域の個体群が持つ色をほぼ持っています。
パンサーカメレオンは樹上性の生き物で森の中に生息しています。また、基本的には「常に隠れていたい」生き物です。後ほど飼育方法のところで記載しますが、森の中のような環境を作ってあげることが重要になります。
大きさ
大きさは最大で約50㎝です。ただ、尻尾が長いためそれほど大きくは感じないかもしれません。
販売されている個体はまだ小さなベビーから育ったサイズまでさまざまですが、一番多く販売されているのはベビーの少し育ったサイズでしょうか。
性格
気性は荒くなく大人しい性格をしています。ただ、個体によって神経質な場合があるので購入時には確認するようにしましょう。
神経質な個体は、ケージに手を入れた際に口を大きく開けて威嚇するような個体です。また、派手な体色を見せている個体も警戒している場合が多いので要注意です。たいして美しい色彩を見せず、おとなしく触られている個体が実は人慣れしておりストレスに強いので飼いやすいと言われています。
寿命
飼育下での寿命は5年ほどと言われています。
繁殖したことのあるメスだともう少し短くなるようです。それほど長生きをする爬虫類ではないので、ベビーで購入して大きくなるのを楽しむ種類とも言えます。
2.パンサーカメレオンを購入しよう(販売場所、価格)
販売されている場所
・爬虫類専門店
・爬虫類イベント
基本的にパンサーカメレオンは、爬虫類専門店で買うのをおすすめします。飼育に詳しい店員さんがいて飼育用品も揃ってあるので安心して購入できます。また、カメレオンは少し環境面のストレスに弱いところがあるのできちんとしたお店で管理されている個体を購入するのが安全です。カメレオン好きの店主がカメレオンを多く取り扱っているショップ、などで購入するのが色々詳しい話を聞けて安心でしょうか。
爬虫類イベントでは多様な店舗から気に入った個体を購入することができます。イベントで購入する場合は、事前に飼育用品を揃えてセットしておくべきです。また混雑している場合は店員さんに話しかけづらいなどの心配点があります。
価格
パンサーカメレオンの価格は平均約4万円~6万円ほどです。
中には10万円を超えるような個体も販売されています。
なぜこんなにも値段の幅が広いのかというと、2つのポイントがあります。
1つ目はカラーリングの鮮やかさです。
パンサーカメレオンは多様なカラーの個体がおり、特に色鮮やかな個体は人気です。
そのことから鮮やかな赤色の個体など、ぱっと見で美しいと思える個体は高額になる傾向にあります。
2つ目は産地です。
産地が豊富なパンサーカメレオンですが、あまり輸入されないレアな産地が存在します。そういった産地の個体は高額で取引される傾向にあります。
ただ、産地はあくまでもマニアックな話であり、拘りがあるマニアを除いてはそれほど意味があるものではないので、、産地に拘るのは色々なパンサーカメレオンを飼育してからで良いかと思います。
3.パンサーカメレオンの飼育に必要なもの
ここからはパンサーカメレオンの飼育に必要なアイテムを紹介していきます。
できれば生体を迎える前に揃えてセットしておくと、お迎え当日スムーズに家に連れて帰ることができます。
以下のものが飼育に必要になります。
・ケージ
・枝などの登れるもの
・水やり用ドリッパー
・床材
・バスキングライト、紫外線ライト
ケージ
パンサーカメレオンは樹上性なので、高さのあるケージを選びましょう。
高さは60cmほどあると十分に終生飼育することができます。
また、パンサーカメレオン飼育においておすすめなのはメッシュケージです。
通常の爬虫類ケースだと、ガラスの側面のため霧吹きをする際に湿度が上がりやすく、カメレオンが体調を崩しやすいとされています。全面がメッシュ性になっているケージだと程よく通気性が確保されるため飼育ケージに良いです。
ただ、湿度が低すぎるのも問題です。なので定期的な霧吹きなどによる湿度の上昇が重要になります。「森の中」の湿度感をイメージしていただければ良いでしょうか。湿度は高すぎず低すぎず爽やかな感じですね・・少し説明が難しいですがカメレオン飼育において重要となるのがこの湿度です。
枝などの登れるもの
枝を入れてパンサーカメレオンが登れる場所をたくさん作りましょう。パンサーカメレオンは枝を器用に掴んで移動するのでその環境を作ってあげることが重要です。
爬虫類用品としてワイヤーが入っていて自由に曲げることができるこちらの商品もおすすめです。
観葉植物などを入れてもいいでしょう。100円均一で販売されている人工植物でも問題ないので、登ることができ、さらに体を隠せる植物があるとカメレオンは安心します。
水やり用ドリッパー
パンサーカメレオンは水容器を置いていても水を認識することができません。水面が揺れていることで、水を認識することができます。
なので、水をケージの上部から落としてあげることが必要になります。そこで活躍するのがドリッパーです。水量を自由に調節できるこちらの商品がとても使いやすいです。
水入れから水を飲んでいる姿が見られなければ、ケージの内側に霧吹きしてあげましょう。
垂れてくるしずくや植物の葉について水滴をペロペロと舐めてくれると思います。
また、スポイドで水を顔に垂らしてあげて飲ませることも可能です。頭に水がかかったことで水を認識して舐めてくれます。
床材
湿度を保ちやすい素材のものがいいです。
床材には以下のようなものがよく使われています。
ヤシガラ | 保湿性が高く見た目もいいです。燃えるごみとして出せるのもメリットです。 |
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爬虫類用ソイル | 保湿性が高く、バクテリアが繁殖してフンなどを分解してくれます。生体が良く湿ったソイルを踏んだあとケージ内が汚れてしまうことがあります。 |
ミズゴケ | 保水力や弾力性があります。前面に敷く場合は濡らしすぎなどに注意しましょう。 |
バークチップ | 園芸用で安く販売されており湿度や温度を保ってくれます。見た目も美しいです。 |
キッチンペーパーやペットシーツなどの紙類 | 見栄えを気にしなければコストがかからず汚れたら頻繁に交換でき、床材として使えます。保湿性が低く、成体の誤飲の危険もあるのでよく観察しましょう。 |
ヤシガラはパンサーカメレオンにとって重要な湿度を保つことができ、見た目も自然な雰囲気で特におすすめです。
爬虫類用品として販売されているものは生体の安全を考えて作られています。
バスキングライト、紫外線ライト
パンサーカメレオンの適温は約25~30℃です。
ただ、温度に関しては高低差があり、自由にパンサーカメレオンが移動できる環境を作ってあげることが重要です。なので、飼育ケージの一部にバスキングライトを照射することで、その部分だけ他より少し暖かいという環境を作り出すことができます。
ただし、夏場は締め切った部屋だと室温が30℃を超える場合があり危険です。
クーラーで温度管理するのが1番です。
またパンサーカメレオンは紫外線を必要とします。極端に強いものは必要ありませんが、紫外線ライトを照射するようにしましょう。また、暖かい日は定期的に日光浴をさせるということも良いです。
4.パンサーカメレオンの飼い方
出所)https://tortoisesworld.com/product/ambanja-panther-chameleon/
餌、サプリメント
パンサーカメレオンは動くものに反応して食べる性質があります。なので基本的には与える餌は生きた昆虫となります。
・デュビア
・ミルワーム
などを与えます。
どれもペットショップなどで手に入ります。
目安としては成体には2〜3日に1度、幼体には毎日餌を与えることがおすすめです。ただし、個体によってどれだけ食べるかは差がありますので様子を見ながら与えるようにしてください。
また昆虫や人工飼料だけでは不足しがちなカルシウムやビタミンはサプリメントで補いましょう。
爬虫類用のサプリメントを昆虫にまぶしたり、人工飼料につけて与えるだけです。
特にベビーの時期は毎日添加してあげてください。
あまり生きた昆虫を扱いたくない、という方は冷凍コオロギや乾燥コオロギを与えるということも出来なくはないです。ただし、最初は生きたコオロギをピンセットで与えて、ピンセットに摘まれているもの=餌と認識させた上で冷凍コオロギや乾燥コオロギをピンセットで摘んで与えるといった努力が必要になります。
また、好みの餌があって偏食傾向にあるパンサーカメレオンなどもいます。複数の餌をストックして日によって変えてみる、といったこともおすすめです。
温度と湿度
パンサーカメレオンの適温は約25~30℃です。
寒すぎる、暑すぎると食欲が落ちて病気の原因にもなります。
また暖かい島にいた生き物だから暑さには強いのだろうと考えてはいけません。
日本の真夏はパンサーカメレオンにとっては暑すぎます。
ケージ内には温度計を入れて適温を保てているか毎日チェックしましょう。
またパンサーカメレオンは湿度が高く、通気性の高い環境を望みます。
乾燥しすぎると脱皮不全や脱水を起こしてしまいます。
毎日霧吹きで床材やケージ内を湿らせるなど、よく気を付けてあげましょう。
ハンドリング
パンサーカメレオンは大人しい性格のため、慣らせばハンドリングは容易にできます。
日頃ハンドリングに慣れておけばケージ内の掃除や体調の確認など、ストレスを与えることなく触れることができるので是非練習しておきましょう。
ハンドリングする際には生体を驚かせないよう優しく掴み、落ちないように手に乗せてください。
もし手の上から移動するようであれば無理に止めず落ちないよう自分も動きに合わせましょう。
ハンドリングは長時間を避け、生体の様子をよく見ながら行いましょう。
繁殖
パンサーカメレオンの飼育に慣れてきたら、繁殖にチャレンジしてみるのもいいでしょう。
生後1年ほどで性成熟するので繁殖が可能になります。
オスとメスの相性がよければ産卵してくれます。もしオスとメスを一緒にして喧嘩をするようであればすぐに離しましょう。
複数個の卵を産むので、すぐに暖かい場所へ隔離し約6〜18か月ほどで孵化します。
孵化までの期間が長いのがパンサーカメレオンの特徴です。繁殖させる場合はインキュベータのように自動で温度管理ができる機械を購入しておくと安全です。
また、孵化後にはベビーが食べられるような小さなコオロギなどを用意しておきましょう。
繁殖をさせる場合には生まれたベビーを飼育するのか、またどこかに譲るのかを決めておくなど計画的に行いましょう。
5.パンサーカメレオンを飼ってみよう
一見繊細で気難しそうなパンサーカメレオンですが、適切な飼育環境を用意してあげ、適切な管理をしてあげればそれほど飼育困難な種類ではないです。重要なのは通気性と水分、でしょうか。特に水不足になると体調を崩すのと湿度が高すぎるのも問題になるのでその点だけ様子を見ながら管理してもらえればと思います。
当記事が飼育を考えている方の参考になりましたら幸いです。
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