アフリカツメガエルは簡単に繁殖できることから、生き餌や研究用として幅広く利用されているカエルです。ですがアフリカツメガエルは、ペットとしても売られていて飼育することができます。今回は少し変わった、アフリカツメガエルの特徴や生態・餌・設備など飼育方法について、初心者の人にも分かりやすく解説していきます。
目次
アフリカツメガエルとは
アフリカツメガエルは、無尾目ピパ科ツメガエル属に分類されるカエルで、略して「ツメガエル」とも呼ばれています。陸上で歩行することができない体の作りのため、一生を水の中で過ごす完全水棲のカエルです。それではまず、アフリカツメガエルの特徴と生態について見ていきましょう。
アフリカツメガエルの特徴
アフリカツメガエルの体は、全体的に平たく泳ぎやすい形になっていて、頭部は体よりも小さく目も小さいです。アフリカツメガエルの目は、通常のカエルに比べ真上を向いた作りになっており、天敵であるサギなどの水鳥の存在にいち早く気付くためだとされています。
アフリカツメガエルは後ろ足の5本の指のうち、3本に角質層と呼ばれる大きく発達した爪を持っていて、これが「ツメガエル」の由来になっています。アフリカツメガエルの前足は小さく水かきはありませんが、後ろ肢は筋肉質で大きく発達して水かきもあります。大きな後ろ足は水中での泳ぎに優れており、前足は水かきがないことで水草をかきわけたりするのに役立ちます。
さらにアフリカツメガエルの後ろ肢の大きな爪は、餌を食べやすくするために引き裂いたり、砂や砂利を掘り起こして水底に潜んでいる獲物を見つける際にも用いられます。また、アフリカツメガエルは舌がないので餌を食べる際は、前肢を使って口にかき込むようにして食べるのが特徴です。
アフリカツメガエルの体色は、背面暗灰色から褐色の色合いで腹面は淡い色をしています。背中は斑紋のような模様がありますが、皮膚自体はとても滑らかで柔らかいです。
アフリカツメガエルの大きさ(幼体・成体)
アフリカツメガエルの全長は雄は5～6㎝ほどで、雌は10～12㎝と雌の方が二回り以上も大きくなります。幼体のオタマジャクシは7㎝と大きく、ナマズような体系とヒゲを持っているため、ナマズの幼魚と見間違われることがあります。
アフリカツメガエルの生態
アフリカツメガエルは、アフリカ中部から南部にかけて幅広く生息している水生カエルです。流れのある川などは嫌い、水流がなく温かい湖や沼などの穏やかな環境を好みます。アフリカツメガエルはほとんど水底にいますが、肺呼吸であるため呼吸の際には水面に上がってきます。
アフリカツメガエルのオタマジャクシは、他のカエルのオタマジャクシとは違い歯がありません。そのため植物性の餌を食べますが、藻類などではなく水中を漂う植物プランクトンを主食としています、生体になると水生昆虫や小型の甲殻類、魚、水草など何でも食べる雑食性になります。
繁殖は春季に多く見られますが、一年中通して行われていて年に4回繁殖していることが確認されています。卵のサイズは直径1ｍｍほどで、雌は一度に500～2000個ほど粘着性のある卵を産みます。
アフリカツメガエルの寿命は野生においては15年から16年、飼育下では20年も生きた記録があり、カエルの中では長寿の部類です。
アフリカツメガエルは日本にも生息している
逃げたり違法に放流されたアフリカツメガエルの個体が、日本の和歌山県や静岡県で繁殖していることが確認されています。アフリカツメガエルは、低温の耐性があることから日本の冬を越すことができるため、定着しつつあるというのが現状です。このため、日本国内の両生類や他の淡水生物など、生活圏が同じ生物に対して悪影響や生態系が侵される懸念がされています。
アフリカツメガエルは養殖が簡単なカエル
アフリカツメガエルは繁殖させることが容易なことから、餌用としてだけではなく研究用としても利用されています。また過去には食用として利用されていたこともあります。
研究用として販売
アフリカツメガエルの細胞は大きくて胚の成長過程を観察しやすいため、実験用の動物として研究に用いられています。繁殖させる際はもホルモン注射を打てば、たくさんの卵を産んでくれるため、管理と養殖がしやすいカエルです。
餌用として販売
アフリカツメガエルは過密飼育ができることと、栄養価も高いことから餌用としても利用されています。またアフリカツメガエルは、生き餌しか食べない大型の観賞魚や、餌食いが悪い観賞魚に対して最適な餌になるため重宝されています。
アフリカツメガエルの飼育方法
アフリカツメガエルはそこまで水質にうるさくなく、雑食性でなんでも食べてくれることから飼育しやすいカエルです。あまり動くことはありませんが、特徴的な姿と色合いは見ているだけでも楽しめます。続いては、アフリカツメガエルの飼育方法について、各項目に分けて説明していきますので、しっかり要点を抑えていきましょう。
用意する水槽
アフリカツメガエルは水中生活のため、熱帯魚飼育と同じ水槽を用いるようにしましょう。そのため、虫かごのような水槽ではなくアクリルかガラス素材の、しっかりとした作りの水槽を選んでください。
単体で飼育する場合の水槽サイズは、45㎝規格水槽(幅45㎝×奥行き24㎝×高さ30㎝)であれば問題なく飼育することが可能です。しかし、複数飼育するのであれば、単体飼育のときよりも大きめのサイズの水槽を用意しなければなりません。例えば、アフリカツメガエル3～5匹程度飼育するのなら、60㎝規格水槽以上の水槽を用意しましょう。
ろ過フィルター
アフリカツメガエルを単体で45㎝水槽で飼育する場合は、投げ込み式フィルターか外掛け式フィルターでも十分飼育が可能です。複数飼育で60㎝水槽以上の水槽で飼育する場合は、ろ過能力の高い外部式フィルターか、上部式フィルターを使うと良いでしょう。
水温と水深
アフリカツメガエルの適正温度は、20～26℃になります。そのため、夏では問題ありませんが、冬では水中用ヒーターを設置するようにしましょう。アフリカツメガエルは適応能力が高いため、水温が5℃以下にならなければ無加温飼育もできますが、健康で立派に成長させるためには水中ヒーターは必須です。
アフリカツメガエルは自然界では、水深1ｍほどの深さで生活しているカエルです。そのため、水深は深い方が好ましく、最低でも20㎝以上の水を張るようにしてください。
水槽の蓋
アフリカツメガエルは、水槽から飛び出すことがあるので必ず蓋は必要になります。また、水槽に蓋をすることで水の蒸発を防ぐことにもなるので、必ず蓋をして飼育するようにしましょう。
水槽レイアウト
アフリカツメガエルの飼育の場合、水槽レイアウトはあまり施さずベアタンクがおすすめです。ただし泳ぐのが苦手なため、ろ過フィルターの影響で水槽内の水の流れが速いと、流されてしまう恐れがあります。そのため、シェルターなどを隠れ家になるスペースを作り、アフリカツメガエルが落ち着ける場所を用意してあげるとよいでしょう。
床材
砂利を敷くと水槽内の雰囲気が良くなりますが、アフリカツメガエルを飼育する際には必ずしも必要ではありません。砂利は厚めに敷いてしまうと、砂利の中に汚れが詰まってしまい、水質の悪化に繋がるため薄く敷くようにしてください。また、細かすぎる砂利はアフリカツメガエルが餌を飲み込むときに、誤って誤食する恐れがあるので、粗目の砂利を用いるようにしましょう。
水換えと掃除の頻度
アフリカツメガエルは水質悪化に強いカエルですが、2週間に一回は1/3ほどの水替えを行ってください。また、水道水の水をそのまま使わず、必ずカルキを抜いてから水槽に水を入れるようにしましょう。カルキ抜きの方法は、バケツなどに汲み置きして1日置いておくか、中和剤でカルキを抜く方法があります。
どんな餌を食べる？餌の頻度は？
アフリカツメガエルは基本、口に入るものならなんでも食べる雑食性のカエルです。そのため、熱帯魚の餌やカメの餌、ザリガニの餌などの人工飼料を与えても食べてくれます。しかし、アフリカツメガエルを状態よく立派に成長させるのなら、生き餌のメダカや金魚、冷凍赤虫、両生類の人工飼料を与えるようにしてください。
餌の頻度は日中の決まった時間に、食べきれる量の餌を与えるようにしましょう。また餌の与えすぎは、水質の悪化や肥満を招く恐れがあるため、適度な量を保ってください。
アフリカツメガエル値段と販売場所
アフリカツメガエルの相場は、サイズによって若干変わりますが、1匹辺り30円～50円くらいで売られています。10匹では1000円単位、30匹であれば2000円単位で売られています。しかし、アルビノの個体であれば1匹1000円ほどにもなります。
アフリカツメガエルは、中型魚や大型魚の肉食魚を販売しているペットショップや、爬虫類専門店であれば売っていることが多いです。またネット通販なら簡単に見つけることができ、サイズ別にも販売されているのでおすすめです。
アフリカツメガエルとカエルツボカビ症
カエルツボカビは、カエルの体表にカエルツボカビが寄生することで、皮膚呼吸が困難になる病気です。発症すると食欲がなくなり、最悪の場合は身体がマヒして死ぬ恐れがある、両生類にとって危険な病気になります。
カエルツボカビは、世界中の両生類が減少、絶滅を引き越したと言われるほど、死亡率の高い病気です。もとはアフリカツメガエルに付着している菌で、アフリカツメガエルは耐性を持っているので発症することはありません。しかし、他の両生類にとっては猛威を振るう菌であるため、アフリカツメガエルの飼育水は庭に捨てたりせず、必ず下水に捨てるよう徹底してください。
アフリカツメガエルの飼育方法まとめ
アフリカツメガエルは、一生のほとんどを水中で過ごすカエルです。アフリカツメガエルは丈夫で飼いやすく、餌に関してもうるさくはないので初心者におすすめの両生類です。
本来は、餌用や研究用として利用されているカエルではありますが、あえて観賞用としてアフリカツメガエルを飼育してみるのも違った楽しみがあるでしょう。
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