飼育・生体

水辺の厄介者?ミドリガメ飼育の魅力を考える

ミドリガメに対して、みなさんはどんなイメージを持たれているでしょうか?

ドブ川からお隣の田んぼまで、水のあるところならどこにでも生息しているデカいカメ。そんなところでしょうか。いずれにせよあまり良いイメージは持たれていないのが現状です。

ペットカメ界ではやや不遇な扱いのミドリガメですが、実は非常に飼いやすく、育て甲斐のあるカメなんです。今回の記事ではミドリガメの魅力を再発掘。終生飼育の楽しさをお伝え
していきます!

 

ペットとしてのミドリガメの魅力

ミドリガメは、ベビーの頃はその名の通り美しい緑色をしており、1980年代以降の人気に火をつけた理由の一つでもあります。非常に活発に泳ぐため観察していても楽しいカメです。

しかしミドリガメ飼育の魅力はこれだけではありません。ミドリガメは鑑賞もさることながら、何よりも育てる楽しみが大きいカメなのです。

抜群の餌食い

ミドリガメはとても食いしん坊な生き物です。飼育環境に気を配ってさえやれば非常に餌食いがよく、与えた餌をパクパク食べる姿は非常に愛嬌があり、見ていてとても楽しいです。ミドリガメが原因とされている在来生物への悪影響も、この鬼の食欲でもって手当たり次第に餌を取ることに起因しています。

とにかくよく食べるので、餌やりタイムが楽しいカメだといえるでしょう。

大きく育てる楽しみがある

ミドリガメといえば小さな体に鮮やかなグリーンの模様のカメを思い浮かべるかもしれません。しかしそれはベビーの頃に限った話であり、フルアダルトのミドリガメは黒っぽい色の甲羅に黄色のラインが入った渋いカラーリングになります。

大きさも500円玉くらいの子ガメから最大で30cmほどになります。ベビーの頃と比べると多少愛嬌も薄れるため、説明を聞かずに購入した飼い主には捨てられてしまったカメもいます。

逆に言うと、チビガメを自分の手で大きく育てたい方には、これほど飼いやすく立派に育つカメはいないでしょう。状態良く仕上がったフルアダルトの甲羅はとても美しく、艶やかで甲冑のような印象を与えます。

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ミドリガメの飼い方

ミドリガメの魅力を再確認できたところで、飼育方法を確認してみましょう。ミドリガメをはじめ、水ガメの飼育は屋内飼育と屋外飼育で少々飼い方が異なります。二つのパターンをチェックしてみましょう。

ミドリガメを屋内で飼育する

ミドリガメの屋内飼育に最低限必要なものは以下の4つです

  • 飼育ケース
  • 陸地
  • 紫外線ランプ
  • バスキングランプ
  • 濾過フィルター

飼育ケースのサイズは、子ガメなら40×25cm水槽でいいでしょう。成長に従って徐々にサイズアップしていき、最終的には90cmの水槽やプラ舟で飼育することになります。

カメを健康に育てるには紫外線が必要不可欠です。屋内で飼育する場合、太陽の光が届かない前提で設備を考える必要があります。そのため屋外飼育では必要ない紫外線ランプが必須となります。加えて体を温めるためのバスキングランプ、熱帯魚用ヒーター(冬場)、濾過フィルターも準備しましょう。

フィルターはいくつか種類があってそれぞれ濾過能力に違いがありますが、ミドリガメは大食漢な分鬼のように水を汚します。割り切ってフィルターを使わず2~3日に一度水換えをするか、カメ用に設計された投げ込み式フィルターを利用すると良いでしょう。

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ミドリガメの屋外飼育

屋外飼育で最低限必要になるのは以下の3つ

  • 飼育ケース
  • 陸地

変温動物のミドリガメは外気温が下がると活性が低下し食欲が落ちます。もし冬眠させる予定がないなら秋口からは家に入れてあげましょう。また、子亀のうちも野良猫や鳥に襲われる可能性があるため屋内飼育がベターです。

ある程度のサイズになってから屋外の日当たりの良い場所で育てれば、太陽の光をたっぷり浴びて健康に育つことでしょう。

水換えについてですが、電源が引ける場所であれば屋内飼育と同じようにフィルターを使うこともできます。難しいようであれば、屋内飼育と同じように2〜3日に一度水換えをおこなってください。

ミドリガメの餌について

ミドリガメは、自然界では魚や貝、ザリガニなど主に水生生物を主食としています。また副食として藻類や野菜なども食べます。

飼育下で与えるのであれば、カメ用の配合飼料が各メーカーから発売されていますのでそちらを主に与え、おやつ程度に魚や甲殻類を与えても良いでしょう。

カメ用の配合飼料の中であれば、食いつきのよいレプトミンスーパーがおすすめです。

 

カメの寿命について

カメの仲間は総じて長寿の種類が多いですが、ミドリガメも例外ではありません。寿命は最長40年といわれており、ベビーから飼育するのであればそれなりの覚悟が必要となります。

また、将来的に後述する特定外来生物に登録される可能性が高いため、飼えなくなっても譲渡するのは難しいです。飼育する場合は家族で世話できる人を複数見つけておきましょう。

 

そもそもミドリガメってどんなカメ?

ミドリガメと呼ばれ、我々の生活環境にも近しい彼ら。しかし実際どんな生物で、なぜ日本に定着してしまったのか知らない方も多いのではないでしょうか。

ミドリガメは、本名をミシシッピアカミミガメといい、もともとはアメリカが原産の水ガメの一種。雑食で何でも食べる大食漢で、川に住み着いた個体が在来種のカメの餌を奪ってしまう、卵を食べてしまうなど環境に悪影響を及ぼしています。

参照 : ため池の自生レンコン消滅 〝元凶〟外来種カメ駆除へ 兵庫・加古川市住民ら

環境適応力が高く、日本では冬場の北海道以外でならどこでも生存が可能だと言われています。

川にミドリガメがあふれるようになった理由

ミドリガメは、1980年代以降、アメリカからペット用に輸入されて日本にやってきました。当初から一匹数百円といった安価で流通しており、縁日で「カメすくい」が定番の出し物だったほど手に入りやすい生き物だったのです。

しかし、ミドリガメは飼育を続けていると最大で甲長30cmほどになる中型種です。ブームに乗って飼い始めたものの、大きくなって飼いたくなくなった、スペースが無いといった身勝手な理由から大量の個体が川に遺棄されました。

また当時は販売業者も売れ残りのミドリガメを川に放流しています。このとき捨てられた個体が定着し、繁殖した結果、日本の水場にミドリガメがあふれ返るようになったのです。

 

今後ミドリガメの特定外来生物入りはあるのか?

日本に定着している外来種の中で、特に環境に悪影響を与えるものは特定外来生物と呼ばれ、繁殖や飼育、譲渡が法律で規制されています。有名どころではブラックバスやアライグマなどが指定されており、2018年4月にはアリゲーターガーを始めとするガー類が対象となり、愛好家を嘆かせました。

2019年5月現在、ミドリガメは特定外来生物ではなく緊急対策外来種に選定されています。一時期環境省によって特定外来生物入りが検討されていましたが、現在は一歩手前で見送りとなっている状態です。

近い将来ミドリガメが特定外来生物入りし、新しく飼育できなくなる可能性が大いにあると思って良いでしょう。

ミドリガメが特定外来生物に指定されてしまったらどうすればいいのか

もしも今後ミドリガメが特定外来生物に登録されてしまったとき、ミドリガメを飼っている人はどうすればいいのでしょうか。

実は特定外来生物は、登録された時点で人に飼育されている個体であれば、申請を出してそのまま飼い続けることが可能です。なので、飼っているミドリガメを焦って手放したりせず、そのまま飼い続けてあげてください。

参考:https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/shiyou/tetsuduki.html

 

まとめ ミドリガメは非常に魅力的な生き物 楽しんで終生飼育しよう

ここまでペットとしてのミドリガメの魅力についてご紹介してきました。以下に内容をまとめます。

  • 大きく育てることを楽しめる生き物
  • アダルトはベビーとは違った魅力がある
  • 丈夫で飼育しやすい
  • 餌は配合飼料をベースに与える
  • 特定外来生物入りはあり得るが、申請すれば飼育は続けられる

カメは手間を惜しまず世話すれば、それに応じて状態が良くなる生き物です。寿命の長い生き物ではありますが、大切にされて共に生きたカメは、必ず飼い主のかけた愛情に答えてくれます。

将来的に規制される可能性のある生き物ではありますが、これから飼育するのであれば、どうか最後まで家族として一緒に暮らしてあげてくださいね。

 

ライター:いちはら まきを

Twitter:https://twitter.com/?lang=ja